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X線の吸収と方程式

発行:エスオーエル株式会社
http://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2012年10月10日号 VOL.017

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TomoScope のような X線CT装置は,
X線が物質を通過する際に吸収されることを原理として使っています.

今回は,このX線の吸収についてのお話です.

物質を透過した後のX線の強度 I について式で書くと

  I = I0 exp(-μx)

となります.
ここで,I0 は物質を透過する前のX線の強度です.
x は,物質の厚さです.
μは,「吸収係数」または「減弱係数」と呼ばれるもので,
物質の種類によって変わります.

exp() は指数関数なので,x=0 のとき,exp(0) = 1 になります.
つまり物質がないときは,I = I0 となり,透過前後でX線の強度は変化しません.

また,μ>0 では,厚さ x が大きくなれば,
exp(-μx) は,どんどん小さくなっていきますので,
透過後のX線強度 I が 透過前の I0 より弱くなることが分かります.

μ<0 では,厚い物体を通過するとX線が強くなる状況ですので,
普通はあり得ません.

μ=0 は,exp(0) = 1 となるので,
これもX線を吸収する物体がない状況に相当します.


X線の減衰について詳しく話し始めると,
なかなか込み入った話となり,長くなってしまうので,
簡単に触れておくのみにしますが,

減衰は,吸収と散乱によって起こる現象です.

吸収係数μを分解すると,実は,

  μ = (光電吸収の効果) + (弾性散乱の効果) + (非弾性散乱の効果) + (電子対生成の効果)

のように書けます.

でも,X線は物質を通過する間に吸収されて弱くなっていくんだなという
理解があれば,十分だと思います.


さて,最初の吸収の式をちょっとそれらしく導いてみましょう.

X線の強度 I が薄い物質を通過する間に I-ΔI に減衰したとします.
薄い物体の厚みを Δx とします.
このとき,強度の変化 -ΔI が厚み Δx と強度 I に比例しているという式を書きます.

  -ΔI = μIΔx

ここで,μが比例定数になります.
これは強度が2倍になれば,減衰量も2倍,
薄い物体の厚みが2倍になれば,減衰量も2倍という式です.

ポイントは,薄い物体は,とっても薄いということです.
厚みがあると考えると,この式では問題があります.
そこで,厚み Δx を極限まで薄くして,dx と書きます.
それに伴って減衰量も -dI と書きます.

すると,-dI = μIdx となり,

  dI/dx = -μI

という方程式になりました.


騙された気分になった人は,
ΔI を使わずに,微分の定義を使うとすっきりするかもしれません.
x の厚みを Δx だけ薄くしたときの強度 I の変化を式で書くと

  { I(x) - I(x - Δx) } = -μI(x)Δx

となります.両辺を Δx で割っておいてから,Δx → 0 の極限を考えると,

  (左辺) = lim { I(x) - I(x - Δx) }/Δx = dI/dx ,
  (右辺) = -μI(x)

なので,先程の方程式になります.

微分方程式なので,変数を分離して積分して解きます.

    dI/dx = -μI
  ⇔ dI = -μIdx
  ⇔ dI/I = -μdx
  ⇔ ∫dI/I = -μ∫dx
  ⇔ log(I) = -μx + C(積分定数)
  ⇔ I = exp(-μx + C)
  ⇔ I = exp(C) exp(-μx)

ここで,x=0 のとき I=I0 とすると,exp(C) = I0 なので,最初の式

  I = I0 exp(-μx)

が出てきました.


さて,何やら導出らしきものを書いてみました.
でも,強度の変化 -ΔI が厚み Δx と強度 I に比例していると仮定して式を立て,
導きたい式を出したので,答えを知っているからできたようなものです.
理論上でなく,この式が正しいことを確かめるためには,結局は実験で,

  log(I/I0) = -μx

を確かめることになるのだと思います.
これはまさに,I = I0 exp(-μx) を直接確かめているのであって,
導出に使った仮定を直接確かめているわけではありません.
(使った仮定を直接確かめたければ,無限に薄い物体が必要になります!)

では,なぜこんな面倒な計算をしたのでしょうか.
ここまで頑張って計算すれば,もう I = I0 exp(-μx) は忘れないという
御利益はあると思います.

--
高野智暢


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