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2011.05.20
A-0007. 品質管理と工程能力指数 — TT
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 品質管理と工程能力指数 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 2011年5月20日号 VOL.007 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 弊社は、寸法や形状測定技術を専門とした会社ですので、 品質保証部門の方や、品質管理に詳しい設計や開発の方とお話する機会が多くあります。 今回は、品質管理について取り上げてみようと思います。 品質管理と言っても、その範囲は広く、 測定機を使って品質保証するというのもその一つですが、 そもそも企業活動を続けていくこと自体を品質管理のひとつと捉えることもできます。 JIS Z 8101 によると、品質管理とは、 「買手の要求に合った品質の品物又はサービスを経済的に作り出すための手段の体系」 と定義されています。 そのため、基本的なところでは、 企業や工場でよく言われる「報連相」や「5W1H」、「PDCA」なども品質管理の基礎になります。 さて、品質管理ではデータを扱うのに統計学をよく用います。 それは、事実に基づいた分析や客観的な指標による判断を行うための道具として、 とても便利だからです。 よく知られていることとして、バラツキの管理に正規分布をよく使います。 標準偏差σの正規分布のとき、許容範囲を ±1σ ~ ±6σ にとると、 不良品の確率はそれぞれ、 ±1σ ⇒ 31.7% ( = 100% - 68.3% ) ±2σ ⇒ 4.56% ( = 100% - 95.44% ) ±3σ ⇒ 0.26% ( = 100% - 99.74% ) ±4σ ⇒ 63ppm ±5σ ⇒ 0.57ppm ±6σ ⇒ 0.002ppm となります。( ただし、 1ppm = 0.0001% = 100万分の1 です。 ) そして、工程が安定状態に維持されたとき、 どの程度の品質が実現するかを推測する定量的指標として、 「工程能力指数」というものを算出することがよく行われています。 C_p や C_pk というもので、それぞれ、 C_p = (上限規格 - 下限規格) / 6σ C_pk = min(上限規格 - 平均 , 平均 - 下限規格) / 3σ と定義されます。 それを用いた判断基準として、 ① C_p ≧ 1.67 素晴しい ② 1.67 > C_p ≧ 1.33 十分 ③ 1.33 > C_p ≧ 1.00 まずまず ④ 1.00 > C_p ≧ 0.67 不足 ⑤ 0.67 > C_p 非常に不足 という具合に考えます。 これらの数値の出処は、C_p の定義の分子に、σで範囲を考えて、 10σ/6σ = 1.67 8σ/6σ = 1.33 4σ/6σ = 0.67 としているのです。 ここで、測定機の役割について考えてみましょう。 測定機は、せっかく生産したものの中から、 許容値から外れたものに不良品とレッテルを貼り、 生産性を落とすものと見ることもできます。 しかし、品質管理の定義を思い出してみます。 そして、その道具として統計処理を使うことが便利だということを考慮します。 そうすると、測定機が統計処理すべき数値を集め、蓄積するのにとても便利なものだと分かります。 ただし、何事も過ぎたるは及ばざるが如しです。 一般に、C_p が 2.5 以上あると、生産コストが上がるため、逆効果とも言われています。 (もちろん、コストを上げずに工程能力指数を上げることができれば、素晴しいことです。) 測定機も、本来の目的を見失って、高性能や高機能につられて、 高価なものを揃えてもしかたありません。 コストに跳ね返って、買手の要求に合った品質の品物を経済的に作り出すことが難しくなります。 その逆もまた然りで、安価なものを追い求めるあまり、本来の目的を果たせないものを導入しても、 その測定機が無い方が、無駄な工程が減ることで品質向上につながるということになりかねません。 -- 高野智暢 ☆TomoScope専門サイトはこちら☆