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2012.09.10

A-0016. X線のエネルギーと波長 — TT

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X線のエネルギーと波長

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2012年9月10日号 VOL.016

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



X線は光(電磁波)ですから、波長を持っています。
X線CTで使っているX線の波長は何nm(ナノメートル)でしょうか?

長さの単位の確認をしておくと、
1nm = 0.001μm = 0.000001mm
です。

通常はX線管の電圧(kV)を設定することで、
X線の透過力を調整します。

それでは、設定した電圧に対して、
X線の波長を求める式を導出してみましょう。

まず必要な式は、
  E = hν
です。
これは、光子のもつエネルギー E が振動数 ν に比例するという
量子論ではお馴染みの式です。
ここに出てくる比例定数は、プランク定数と呼ばれ、
  h = 4.1356675 × 10^(-15) eV s
です。

eV(エレクトロン ボルト)という単位が出てきましたが、
1V の電位差で加速された電子1個が受け取るエネルギーのことを 1eV
と定義しています。

さて、振動数 ν は、
  ν = c / λ
と書けます。λは波長です。
光の速度 c は、
  c = 299792458 m/s
です。

従って、E = hc/λ なので、
  λ[m] = hc / E = 4.1356675 × 10^(-15) × 299792458 / E [eV]
を計算すると、
  λ[m] ≒ 0.00000124 / E [eV]
となります。
単位を使いやすく、nm と keV に直すと、
  λ[nm] = 1.24 / E [keV]
となります。

具体的に計算してみましょう。

X線の管電圧を 100kV に設定したとします。
管の中では、電子が加速されて、ターゲットと呼ばれる金属に衝突し、
X線が発生します。
電子のエネルギーが全て光子のエネルギーに変換されたとすると、
  λ = 1.24 / 100 = 0.0124 nm
の波長のX線が発生することになります。

実際には、全てのエネルギーが光子のエネルギーに変換されるとは限りませんので、
100kV に設定したときの最も短い波長が 0.0124 nm ということになります。

同様に 200kV では、0.0062 nm が最短波長となります。

発生するX線は、この最短波長よりも長いものが連続的に混ざったものになります。


参考のため、可視光線と比較してみると、
  紫:380~450nm
  緑:495~570nm
  赤:620~750nm
なので、かなり短いことが分かります。


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高野智暢


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