メールマガジン・新着情報一覧
- TOP
- メールマガジン・新着情報一覧
- A-0021. 積分の計算をやってみよう — TT
2013.02.10
A-0021. 積分の計算をやってみよう — TT
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 積分の計算をやってみよう 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 2013年2月10日号 VOL.021 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 1ヶ月が経つのは早いもので、1月10日号のメールマガジンを書き終えたと思ったら、 もう2月10日号を書く日がやって来ました。 今回はちょっと長めの積分計算をやってみましょう。 計算する式は、前回の1月10日号で計算過程を省略した 正規分布に従うεにおけるε^2 の平均値 <ε^2> です。 正規分布関数 f(ε)は、 f(ε) = 1/(√(2π)σ) exp( -ε^2 /(2σ^2) ) です。 もうこの時点で式が長いので、前回は書くのを断念しましたが、今回は続けます。 ε^2 の平均値あるいは期待値 <ε^2> は、 誤差の値が ε ~ (ε + dε) の微小区間にある確率が f(ε)dε となりますので、 (ε^2) × f(ε)dε を全区間で足し上げれば計算できます。 仕方がないので、積分します。しかも -∞ ~ ∞ の区間です。 ∫の記号に抵抗感があっても、単なる足し算がいっぱいという軽い感じで考えましょう。 では、始めます。 <ε^2> = ∫(ε^2)f(ε)dε = ∫(ε^2)/(√(2π)σ) exp( -ε^2 /(2σ^2) )dε (ここで、t = ε/σ と置き、変数変換します) = ∫(t^2) exp( -t^2 /2 )dt = (σ^2)/(√(2π))∫t(t exp( -t^2 /2 ))dt = (σ^2)/(√(2π))∫t( -exp( -t^2 /2 ))’dt (ここで、部分積分の公式が使えます) = (σ^2)/(√(2π))[ -t exp( -t^2 /2 ) ] + (σ^2)/(√(2π))∫exp( -t^2 /2 )dt ここで、[ -t exp( -t^2 /2 ) ] は、t→±∞ で 0 です。 また、1/(√(2π))∫exp( -t^2 /2 )dt = 1 です。 従って、 <ε^2> = σ^2 となりました! さて、1/(√(2π))∫exp( -t^2 /2 )dt = 1 を計算しましょうか。 実は、この積分値は 1 になるように係数 1/(√(2π)) を決めているのですが、 それを確かめましょう。 (∫exp(-t^2)dt )^2 = (∫exp(-x^2)dx )(∫exp(-y^2)dy ) = ∫∫exp( -x^2 - y^2 )dx dy = ∫∫exp( -r^2 ) r dr dθ = 2π∫r exp( -r^2 )dr = π∫exp(s)ds = π 従って、 ∫exp(-t^2)dt = √π となり、t → (t/√2) の置き換えで、 ∫exp( -t^2 /2 )dt = √(2π) なので、1/(√(2π))∫exp( -t^2 /2 )dt = 1 が言えました。 ただし、積分範囲は、 t : (-∞, ∞) x : (-∞, ∞) y : (-∞, ∞) r : (0, ∞) θ : (0, 2π) s : (-∞, 0) です。適宜補って読んで下さい。 物理学科出身の人は、読みにくい計算ですが、これで納得できるかと思います。 数学科出身の人は納得できないと思いますので、 この後、積分範囲が (-∞, ∞) になっていることと、 極座標変換で積分値が等しいとしていることに対して 納得する必要があります。そのため、 (∫exp(-t^2)dt )^2 が πよりちょっと小さい関数とπよりちょっと大きい関数の間にあって、 極限を取ることで、はさみうちの原理が使えることを言う必要があります。 私は数学科出身ではないので、やめておきます。 -- 高野智暢 ☆TomoScope専門サイトはこちら☆