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2014.03.12

A-0034. 幾何公差(vol.006):ゼロ幾何公差 — TT

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幾何公差(vol.006):ゼロ幾何公差

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2014年3月12日号 VOL.034

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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最近、小さな息子が全身の力を抜いて「ヴェーー」と叫びます。
コタツの中に吸い込まれていく遊びをやれということのようです。


さて、今回は「ゼロ幾何公差」についてご紹介致します。

機械図面と関わりを持つことになった人にとって、
比較的初期の段階で出会う常識として、
「公差ゼロはあり得ない」
というものがあります。

 余談ですが、似たような常識として、
 「誤差ゼロの測定はあり得ない」
 というものもあります。

公差ゼロの話に戻って、
公差ゼロがあり得ないということをもう少し正確に言うと、
寸法公差 ±0mm の指定はできないということになります。
もし、そのような図面を描こうものなら...
いろんな反応が返ってくると思いますが、間違いなく加工はできません。


しかし、幾何公差を学ばなければ時代の流れから取り残されそうな今日この頃、
「ゼロ公差を知らないの?」と言う人が増えるかもしれません。
正確には、冒頭で書いた「ゼロ幾何公差」です。

最大実体公差を理解した方にとっては、ちっとも難しくありません。

幾何公差に 「0 ○M」(○Mは、Mを○で囲んだ記号)と指示できるのです。

例えば、公称値 8mm の穴がいつくかあって、
寸法公差を +0.2 , 0 と指定したとします。
図面には、穴同士の距離が「理論的に正確な寸法」で指定してあります。

穴には存在目的があるはずで、
今の場合、部品を組み上げるときに穴にピンが通ることを考えます。

位置度公差として「φ0 ○M」を指定しておくと、
穴が大きめに加工された時には、位置度公差を緩くしても良いですよ
という最大実体公差の考え方が適用できます。

これにより、実際の穴が 8.1mm であれば、
位置度が 0.1mm であっても目的のピンが通るはずです。

8.2mm の穴であれば、位置度 0.2mm でも許容されます。

でも、8.0mm の穴であれば、位置度 0.0mm でなければ、不良品になります。

8.3mm の穴であれば、位置度の前に、寸法公差外なので不良品です。
7.9mm の穴でも寸法公差外なので不良品です。

このように、ゼロ幾何公差方式は、
幾何公差が 0 でなければなりません と言っているわけではなく、
実寸法が最大許容寸法と最小許容寸法を変動するときには、
幾何公差も変動して良いですよ ということです。
そして、実寸法に余裕がなければ、幾何公差も 0 にするしかないですね
ということです。


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高野智暢


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