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2014.11.12
A-0042. ルジャンドル多項式の作り方 — TT
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ルジャンドル多項式の作り方 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 2014年11月12日号 VOL.042 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 丁度 5年と2日前の 2009年11月10日、「Legendre多項式とフォトマスク」というタイトルで メールマガジンを書いて配信しました。 Legendre多項式とフォトマスク 今回は、先月の最後に少し触れた、「ルジャンドル多項式の作り方」をご紹介します。 作り方はいろいろあります。 1. 天下り的に母関数を用意して、そこから各次数を生み出す。 2. 天下り的に公式(ロドリゲスの公式)を用意して、得たい次数について計算する。 3. 天下り的にある形の微分方程式を用意して、その解として構成する。 天下り的というのを強調しましたが、それは、 用意した出発点の背景の説明が面倒で、唐突に出てくることが多いためです。 なぜその出発点に到達したかは説明可能ですが、 山登りに似て、出発点という一つのポイントに行き着くまでのルートがいくつもあり、 時間と労力を要しますので、天下り的に出発点まで行きましょうということです。 (自宅から登山口まで歩く人は極めて稀です。) 出発点(登山口)から説明したいこと(目的地、頂上)までが本題なので、 出発点へは天下るのです。 さて、今回お話しようと思うのは、 4. 内積をある形に定めて、(自然に)ルジャンドル多項式を作る。 という方法です。 ここで、「天下り的に内積をある形に定めて」とも言えますが、 前回までのメールマガジンで、内積のお話をしましたので、 どうしてその形の内積なのかはある程度説明できます。 今、内積 (・,・) を ( f(x), g(x) ) = ∫f(x) g(x) dx と定めます。(ただし、積分範囲は[-1,1]) 天下らないように、説明を試みると、 フォトマスクのように正方形の外形を持つ物の表面形状を 山1つのモード、山2つのモード、山3つのモード、などと 成分に分離しようと考えます。 積分範囲を閉区間 [-1,1] に取っておけば、 正方形の一辺の長さに合わせるには、スケールを調整するだけなので、 閉区間 [-1,1] を考える自然な動機になります。 内積を ∫f(x) g(x) dx としたのは、 各 x に対して、f(x) と g(x)の値を掛けて、全てを足し上げるという 内積の定義(前回のメルマガの<定義2>の拡張)にマッチしています。 内積の形を決めたら、シュミットの直交化法を地道に実行するだけです。 (計算過程は、煩雑になったので、メルマガでの配信を諦めました。) (そのうち、弊社のWebページにでもアップします。) ⇒ Webページにアップしました。 ルジャンドル多項式とは? 直交化について、少しお話します。 ラジコンのヘリコプターを垂直に立てた丸太の上に着陸させることをイメージします。 皆さんは、どの方向から見て操縦しますか? 真上から見られるといいですね。 でも、地上から確認するときは、真正面から見て 丸太の軸とヘリコプターが直線上に並んでいることを確認し、 次に90度視点を変えて、横から再び軸を確認するのではないでしょうか。 真上から見たって、左右と前後の直交方向で考えるはずです。 三次元測定機の操作をしていても、似たような状況に遭遇します。 球の頂点(北極)をプローブで接触しようとするには、 真正面と真横の2つの視点で軸を確認し、ゆっくりプローブを下していきます。 直交した視点から状況を確認し、 それぞれの方向で、残りどの位移動すべきかを判断するのがよいはずです。 多項式展開も同じ原理です。 f(x) = a + bx + cx^2 + dx^3 + ... という展開をして、x の各次数の係数を見るのも一つの方法です。 でも、x^m と x^n がある意味で直交していなければ、 その係数から必要な情報を読み取ることはできません。 ラジコンヘリを真正面と真後ろから確認しても、 真横からの確認をしなければ、丸太に着陸せずに、前方か後方に落ちてしまいます。 n次のルジャンドル多項式を Pn(x) と書き、 f(x) = a P0(x) + b P1(x) + c P2(x) + d P3(x) + ... と展開するとどうでしょう? Pn(x) と Pm(x) が異なる次数では直交しています。 なぜ、直交しているのか? それは、内積をある形に定めて、シュミットの直交化法で、 直交するように作ったからです。 これでようやく、各係数から必要な情報を読み取ること、 つまり、フォトマスクなどの四角い領域上のうねりについて、 山何個分のモードが大きいのか、あるいは小さいのか が判別でき、 どのモードを小さく抑え込むように製造工程を改善すべきがかコントロールできるのです。 -- 高野智暢 ☆TomoScope専門サイトはこちら☆