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2015.01.14
A-0044. シュミットの直交化法 — TT
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ シュミットの直交化法 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 2015年1月14日号 VOL.044 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 以前のメルマガ「042. ルジャンドル多項式の作り方」ですが、 せっかく計算をご紹介しようと思ったものの、 紙に書いた計算をメルマガ用のテキストに直してみると、 煩雑過ぎてとても読めたものではない状態となり、 (嘘は書かないようにそれなりに考えた文章ですが)適当な話 でお茶を濁していました。 そこで予告通り、計算過程をWebページにアップしました。 ルジャンドル多項式 定積分や分数が多少見易いと思います。 n=3 まで書きましたが、 紙には n=4 まで計算したので、時間を見つけて追記していきます。 さて今回は、この計算の前提となっている「シュミットの直交化法」 をご紹介します。 シュミットの直交化法(グラム・シュミットの直交化とも呼ばれます)は、 一般的な大学の教科書に載っているので、 わざわざご紹介する程のものではないのかもしれません。 知っている人は知っているし、知らない人は知らなくてもよいのかもしれません。 でも、書きます。 これから、シュミットの直交化法がどうやって証明されるのか、 概略を書いてみます。 ひょっとしたら、知っている人も公式を憶えただけかもしれません。 そして、触れたことのある人も存在すら忘れていることが多いような気がします。 私自身、学生時代は、全然興味の湧かない公式でした。 機械的に公式に当てはめるとできるという類は、興味がほとんど持てません。 でも、そういえばそんなものがあったなぁ。どうやって証明するんだっけ? と考え始めると、何だか楽しくなってきました。 ましてや、「あれ?ひょっとしてルジャンドル多項式って、 内積を決めてシュミットの直交化するだけで出る気がする」 と思い付いて、やってみると見事に出た時の気分はとてもよいものです。 既に多くの人が気付いていることであっても、演習問題を解くのと、 自分で思い付いて確かめてみるのでは気分が違います。 前置きが長くなりました(前置きがメインという話もある)が、 シュミットの直交化法の証明を始めます。 独立なベクトル { a[1], a[2], ... , a[m] } があって、 それぞれが直交した { b[1], b[2], ... , b[m] } にすることができる。 その公式は、 b[r] = a[r] - Σ b[k] ( a[r], b[k] ) / ( b[k], b[k] ) である。ただし、Σ は k=1 から r-1 までを走る。 というのがシュミットの直交化法です。 証明は、いわゆる数学的帰納法と呼ばれる演繹法を使います。 b[1] = a[1] とします。 { b[1], ... , b[r-1] } まで直交化させることができたと仮定します。 b[r] として、上に書いた公式のように置いたとします。 そのとき、1 ≦ j ≦ r-1 の範囲の j に対して、 b[r] と b[j] の内積を計算します。 ( b[r], b[j] ) = ( a[r], b[j] ) - Σ ( b[k], b[j] ) ( a[r], b[k] ) / ( b[k], b[k] ) すると、Σ が k=1 から r-1 までを走る間、k=j の項だけが残り、 { b[1], ... , b[r-1] } は直交しているという仮定から、あとの項は 0 となります。 計算を続けると、Σを外すことができて、 右辺 = ( a[r], b[j] ) - ( b[j], b[j] ) ( a[r], b[j] ) / ( b[j], b[j] ) = ( a[r], b[j] ) - ( a[r], b[j] ) = 0 となります。 つまり、{ b[1], ... , b[r-1] } と直交(内積が0)する b[r] が作れたことを 示せました。 ここまで、長くて読むのが大変かもしれませんが、 一般的な教科書は、そもそも直交化法にたどり着くまでが長く、 しまいには、証明が「作り方より明らか」「数学的帰納法による」 などど一言で済まされていることもあるので、 それに比べると概略は掴みやすいかなと思ったりしますが、如何でしょうか。。。 -- 高野智暢 ☆TomoScope専門サイトはこちら☆