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2017.06.14
A-0071. ボリュームフィルタの概要 — TT
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ボリュームフィルタの概要 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 2017年6月14日号 VOL.071 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ TomoScope の「明暗補正」という機能について書こうと思ったのですが、 今回は見送ります。 TomoScope は CT装置なので、画像処理技術が詰まっています。 明暗補正は、その中の一つです。 最近は、その明暗補正に関する事柄によく直面します。 事柄というのは、課題であったり、優位性であったりします。 この技術について書くことは、 かみ砕くのに手間がかかる割には、 興味のない人にとっては面白くない話題だと思います。 一方で、この明暗補正に使われている技術は、 ・知っている人にとっては当たり前の部分 ・なかなか真似できないノウハウのある部分 ・簡単にできる部分 ・真似するのは簡単だが、気づくのが困難なアイデアの部分 などに分解できます。 全てが簡単であれば、最初から今の最新状態のはずですが、 ここまで進歩するのに何年も要しました。 つくづく、技術の進歩というのは、 薄い膜の積み重ねというか、小さな一歩の連続というか、 そんな感覚を覚えます。 ここで、話が変わって、 今回は「ボリュームフィルタ」について書くことにしました。 ボリュームフィルタも画像処理技術の一つで、 最新の WinWerth では、ボリュームデータ(REKファイル)に対して、 3次元のフィルタ処理を掛けることができます。 フィルタ処理というと、 できるだけ使いたくないというのがホンネかもしれませんが、 測定機を使っている時点で、フィルタが掛かっていることに対応します。 そして、適切なフィルタ処理を選択できることは、 測定にとって、欠かせない技術ノウハウになります。 WinWerth に搭載されているボリュームフィルタと簡単な説明を列記します。 <フィルタの説明> ・メジアン → 周囲のボクセルと比較し、中心値を取ることで、 砂嵐状ノイズとなる異常値を低減する。 ・平滑化 → 周囲のボクセルと滑らかに繋がるように、 重み付け関数によるスムージングを行う。 ・ブラックフィルタ → 黒地に白いノイズがあれば、黒にならす。 ・ホワイトフィルタ →白地に黒いノイズがあれば、白にならす。 ・チップフィルタ → 金属片など高X線吸収のゴミの影響を減らす。 ・グラスファイバフィルタ → グラスファイバの影響で、樹脂表面にできる凸凹をならす。 これらは、回数や順序を任意に選択することができます。 ますます手を出したくない機能と感じられる方もいらっしゃると思いますが、 それぞれに目的があり、演算はコンピュータなので、 原理に従って正確に実行されます。 一度、処理のレシピ(プログラム)が決まってしまえば、 保存して、同じ処理を繰り返すことができます。 確かに処理のレシピを作るまでは、人の手が介在しますが、 理屈に沿って選択することで、多くの選択肢の中から、 適切な処理を絞り込むことができます。 -- 高野智暢