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2018.02.14
A-0077. X線CTの扱うデータ容量 — TT
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ X線CTの扱うデータ容量 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 2018年2月14日号 VOL.077 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ X線CTを扱っていると,コンピュータの扱うデータ型や容量について 考える機会がよくあります. まずX線CTでは,X線透過画像をデジタルデータとして取り込みますが, 取り込まれたデータは,16bit の符号なし整数型として保存されます. 16bit の整数では,2^16 = 65,536 の値を持つことができるので, 16bit 符号なし整数型の範囲は,0 ~ 65,535 になります. 1024×1024 の検出器を使うと,X線透過画像は 1枚につき, 1024×1024×16bit = 16,777,216bit = 2MB となります. コンピュータを使い始めた頃の価格帯を人はよく覚えているようで, 私の場合,メモリ 1MB = 1万円,HDD 100MB = 10万円 だった 記憶があります. 世代が違うと,この10倍の価格が印象に残っている人もいます. 画像 1枚で2MBだと,フロッピーディスク 2枚に分割保存が必要です. さて,1024×1024 ピクセルの透過画像の場合, CT像の再構成には,標準で 800枚の画像を使います. 合計で 800×2MB = 1.6GB になります. HDD 100MB = 10万円 の人にとっては,160万円という感覚です. フロッピーディスクでは,1600枚必要になります. そして,再構成すると,1024×1024×1024 のボリュームデータになります. TomoScopeの場合,ボリュームデータのデータ型には 2種類あります, 「16bit 符号なし整数型」と「32bit 浮動小数点数型」があり, 切り替えが可能です. 16bit 符号なし整数型の場合, 1024×1024×1024×16bit = 2GB がボリュームデータ 1個の容量です. 32bit 浮動小数点数型の場合, 1024×1024×1024×32bit = 4GB がボリュームデータ 1個の容量です. 昔の人にとっては,4GBなんていう巨大なデータをどうやって扱うんだ というレベルですが,今では余裕で扱うことができます. USBメモリに保存して,持ち歩くこともできます. でも,重たいデータを扱えるコンピュータ技術は, それ以上に重たいデータを作り出すことが得意です. 今では,検出器サイズには,2048×2048 や 4096×4096 があります. 2048×2048 の検出器で,32bit のボリュームデータを生成すると, 2048×2048×2048×32bit = 32GB になります. 4096×4096 の検出器に至っては, 4096×4096×4096×32bit = 256GB になります. 1TBの HDDに 4個しか保存できません. さすがに,このような重たいデータを扱うには,工夫が必要になります. -- 高野智暢