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2018.12.12
A-0088. 交流の瞬時値、最大値、平均値、実効値 — T.T
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 交流の瞬時値、最大値、平均値、実効値 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 2018年12月12日号 VOL.088 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 何らかの装置を使おうと思うと、必ず必要になるのが交流電源です。 交流100Vや200Vと言った場合には、 通常は「実効値」と呼ばれる値を指します。 今回は、交流電源の基本的なお話をします。 交流を考えるときは普通、正弦波形を考えます。 このとき、電圧は瞬間ごとに違う値を取りますので、 時間の関数として書くことができます: v(t) = Vm sin(ωt) この v(t) を「瞬時値」と呼びます。 更に、この式に出てくる Vm のことを「最大値」と呼びます。 では、「平均値」を計算してみましょう。 もし交流の1周期( = T )の平均値を取ってしまうと、 プラスマイナスで同じ波形を足すことになってしまうので、 ゼロとなってしまいます。 そこで、交流の平均値と言った場合には、 1/2周期(半波平均値)を計算します。 1/2周期のサインカーブとt軸で囲まれる領域の 面積 S を求めて、T/2 で割ります。 面積は、0 ~ T/2 の定積分なので、 S = ∫Vm sin(ωt) dt = Vm [ -(1/ω)cos(ωt) ]^(T/2)_0 = -(Vm/ω) { cos(π) - cos(0) } = Vm×T/π となります。 すると、平均値 Va は、S/(T/2) を計算すればよいので、 Va = Vm×(2/π) だと分かります。 (ここまでの計算で、ω=2π/T という関係式を使っています。) 続いて、「実効値」を計算してみます。 実効値は、直流の場合と同じ電力となる交流電圧の値を求めます。 まず、オームの法則から、抵抗が R のときの電流 i(t) は、 i(t) = v(t)/R なので、電力 P(t) は、 P(t) = i(t) v(t) = v^2(t)/R となります。さらに、電圧の瞬時値を書き下すと、 P(t) = (Vm^2 /R) sin^2(ωt) = (Vm^2 /2R) { 1 - cos(2ωt) } となります。そして、平均電力 Pa を計算するために、 0 ~ T の定積分を周期 T で割って、 Pa = (1/T)∫(Vm^2 /2R) { 1 - cos(2ωt) } dt = (Vm^2 /2RT) [ t - (1/2ω)sin(2ωt) ]^T_0 = (Vm / √2)^2 /R となります。 直流の場合は、P = IV = V^2 /R ですので、Pa と比較することで、 交流の実効値 Ve が Ve = Vm / √2 だと分かります。 公式を憶えておくだけでも役に立ちますが、 一度、意味を確認して導出しておくと、 応用が利くようになります。 -- 高野智暢