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2020.02.19
A-0105. 図形の演算表の話とか — T.T
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 図形の演算表の話とか 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「X線CTで高精度寸法測定!?」 2020年2月19日号 VOL.105 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ Werth(ベアト)社が製造している三次元測定機(VideoCheck や ScopeCheck)や X線CT(TomoScope)では、WinWerth と呼ばれるソフトウェアが使われます。 WinWerth は装置を制御するだけでなく、 測定した座標データから形体を抽出することができます。 形体というのは、「点」「線」「円」「平面」「円筒」「球」「円錐」といった 図形のことです。 WinWerth では、これらの図形を組み合わせて、演算することができます。 慣れないうちは、演算表を見ながら、 何を組み合わせると何が計算できるのかを調べるとよいと思いますが、 慣れてくると、表を見ないでも必要な演算が分かるようになります。 例えば、 点 × 線 → 点(垂線の足) 点 × 線 → 線(垂線) 点 × 線 → 円(点を中心として、線に接する円) 点 × 線 → 平面(点を通り、線を法線とする平面) という具合です。 円筒とそれに対して垂直な平面については、 円筒 × 平面 → 円 が計算できます。 しかし、一般的な 円筒 × 平面 → 楕円 は、今のところ対応していないので、 これに当たる演算をしたい場合は、目的に応じて、 何らかの方法で代用するか、工夫した演算を編み出す必要があります。 さて、図形を組み合わせる演算を見ていると、 その構造に興味が出てきます。 実務上は、WinWerth の演算表とその操作方法が大切ですが、 個人的には、図形の演算について抽象的な考えを巡らしてしまいます。 「演算」には、同義語あるいは近い概念として、 「計算」「対応」「関数」「作用」「変換」「射」「写像」などがあります。 関数の考え方の重要性は、何度か書いたことがあります。 演算についても、その概念の背景には広い世界が広がっています。 当たり前のように使っている四則演算「足し算」「引き算」「掛け算」「割り算」 については、「体」と呼ばれる抽象的な構造があり、奥が深くて楽しいです。 また、「足し算」や「掛け算」には、「群」という構造があり、 「足し算」と「掛け算」を合わせたものには、「環」という構造があります。 昔、「足し算」→「掛け算」→「べき乗」の先の拡張を自分で思い付いて、 いろいろ考えたことがあります。 しかし、しばらくして、既に先人達がよく研究しているということが分かりました。 a の足し算を b 回繰り返すことで、a×b という掛け算になります。 a の掛け算を b 回繰り返すことで、a^b というべき乗になります。 同様に、a のべき乗を b 回繰り返す演算の性質を調べたいと思ったのです。 これは、「テトレーション」と呼ばれる演算として、既に調べられていました。 更にはその先の「ペンテーション」や「ヘキセーション」があり、 それらは、「ハイパー演算子」という概念でまとめられています。 ハイパー演算子と図形の演算には直接の関係はありませんが、 演算について考えることが好きなので、 図形の演算も考えるのが楽しいというお話でした。 -- 高野智暢