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2024.01.10

A-0152. 共振の考え方— T.T

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共振の考え方

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「X線CTで高精度寸法測定!?」
2024年1月10日号 VOL.152

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
X線CTによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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今回は、共振とはどのような現象かを数式でみてみます。

まず、外力のない振動の微分方程式を書き下します。
例えば、バネ定数 k のバネに質量 m の物体を付けて振動させます。
バネは、距離に比例する力を物体に与えるので、

  m(d^2/dt^2)x = -kx

という微分方程式になります。
つりあいの位置からの距離 x は、時間の関数になっており、x(t) です。

2階微分方程式なので、
x(t)を2回微分して、定数倍された元の関数に戻ることから、

  x(t) = A cos(ωt) + B sin(ωt)

が一般解になります。

この解を方程式に代入して確認してみます。

  左辺 = m(d^2/dt^2)x = -mω^2 {A cos(ωt) + B sin(ωt)}

この左辺が右辺の -kx と等しくなるので、

  -mω^2 {A cos(ωt) + B sin(ωt)} = -k{A cos(ωt) + B sin(ωt)}

のようになり、

  ω = √(k/m)

であることが分かります。
一般解の A, B は、初期条件で決まる定数です。


では、この微分方程式に外力を加えてみます。
外力を F sin(Ωt) とすると、その強制振動の微分方程式は、

  m(d^2/dt^2)x = -kx + F sin(Ωt)

になります。
これを解くために、解の形を

  x(t) = C sin(Ωt)

と仮定して代入してみます。
すると、

  左辺 = m(d^2/dt^2)x = -mCΩ^2 sin(Ωt)
  右辺 = -kC sin(Ωt) + F sin(Ωt)

なので、左辺 = 右辺 から、

  -mCΩ^2 sin(Ωt) = -kC sin(Ωt) + F sin(Ωt)

となります。これが成り立つためには、

  -mCΩ^2 = -kC + F

であることから、

  C = F/(k - mΩ^2) = (F/m)/(ω^2 - Ω^2)

になります。
これにより、強制振動の微分方程式の解として、

  x(t) = {(F/m)/(ω^2 - Ω^2)} sin(Ωt)

があることが分かります。
そして、外力 0 のときの解と合わせて、
強制振動の一般解が

  x(t) = A cos(ωt) + B sin(ωt) + {(F/m)/(ω^2 - Ω^2)} sin(Ωt)

であることが分かります。
(一般解を代入して、方程式が満たされることを確認できます。)


では、この解の式から、共振とはどのような現象なのかをみるために、

  (ω^2 - Ω^2) = 0

の場合を考えます。
すると、x(t) の振幅が無限大に発散していることが分かります。

つまり、強制振動の外力が、

  Ω = ω = √(k/m)

になっているとき、共振します。


共振は、起こらないようにすべき問題のときもあれば、
起こるようにすべき原理のときもあります。

いずれにしても、k か m (あるいは両方)を変化させることで、
調整することができます。

外力を変化させることができず、共振を止めたいとき、
m を変えることが対策になるということを
経験的に知ることもありますが、
数式で理解してあれば、見通しがよくなります。

さらには、力学的な現象に限らず、
抽象化した概念は、電気的現象や光学的現象など、
幅広く応用できるようになります。


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高野智暢

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