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2009.07.27

D-0007. MSP150のフリンジスキャン — MSN

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MSP150のフリンジスキャン

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「知って得する干渉計測定技術!」
2009年7月27日号 VOL.007

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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FlatMaster MSPシリーズ(以下MSP)は、
前回のメルマガにて御紹介した様な多様な測定・解析が可能です。

平面度及び高さを高精度に測定する技術の核をなすのは、
MSPが採用する独自のフリンジスキャン方式です。
今回はMSPが行う独自のフリンジスキャン方式について、
簡単に御紹介させて頂きます。



①フリンジスキャンについて:

フリンジスキャン(縞走査法)とは、
得られた干渉縞からサンプル表面の表面形状を解析するための技術です。
干渉縞の明暗を正弦波状に変調させて、CCDに画像を取り込みます。

干渉縞の明暗は以下の式で記述されます。

  縞の明暗 = (光路長 ÷ 干渉計レーザー波長)の剰余  (式1)

垂直入射の場合、光路長はGap(参照平面から測定点までの距離)を2倍した値です。

例えば、光路長が200μmで、レーザー光源波長が0.4μmの場合、
200 ÷ 0.4 = 500 で割り切れるため、 剰余0 です。
剰余が0という事は、縞が明るい事を意味します。



②2種類のフリンジスキャン方式:

縞の明暗を正弦波状に変調する方式には、主に2種類あります。
2種類のフリンジスキャン方式とその特徴を見てみましょう。


 G) Gap(参照平面から測定点までの距離)変動方式:

→式1の光路長を微小に変化させることで、縞の明暗を変調する方式。
→ピエゾ素子等を用いて、参照平面とサンプルまでの距離を100nm単位で変化させる。
→従来からある方式で、殆どの干渉計がこの方式を採用している。
→この方式を採用する限り、平面度しか測れない。

 F) FSI(Frequency scanning interferometry)方式:

  →MSPが独自に採用する方式です。
→式1のレーザー波長を微小に変調させることで、縞の明暗を変調する方式。
→MSPではレーザー波長を、796.3~783.8nmまで0.1nm刻みで変化させる。
→この方式では、奥まった面の平面度、面と面の平行度・高さが測定出来る。

今まで、レーザー波長を0.1nm刻みで正確に変調することは、
不可能であると考えられてきました。
しかし、それを実現することによって、
溝や段差のあるサンプルの平面度や平行度・高さの測定が可能になりました。



③FSI方式による高さ測定:

では、なぜGap変動方式では平面度しか測定出来ず、
FSI方式では奥まった面の平面度や平行度・高さが測定出来るのかを説明します。

まず、表面にA面とB面の2つの面が存在するサンプルを考えます。
参照平面からA面までの距離を1μm(光路長2μm)とし、
参照平面からB面までの距離を5μm(光路長10μm)とします。

A面の干渉縞の明暗を1サイクル変調させた時、
B面ではどのように干渉縞の明暗が変化するかを、
Gap変動方式とFSI方式で比較します。


 G) Gap変動方式:

  A面の干渉縞の明暗を1サイクル変調させるには、
  Gapをどれだけ変動させればよいかは、以下で計算出来ます。
  レーザー波長は1μmとします。

    Gap変動値 = (Gap変動後の光路長-Gap変動前の光路長)÷ 2  (式2)

  一方で、
    M = (Gap変動後の光路長÷レーザー波長)
    N = (Gap変動前の光路長÷レーザー波長)
  としたときに、

    干渉縞の明暗サイクル数 = M - N  (式3)

  と書けます。

  式3に、明暗サイクル数、Gap変動前の光路長、レーザー波長 を代入すると、

    Gap変動後の光路長 = 1 + 2 = 3

  Gap変動後の光路長を式2に代入し、Gap変動値を求めると、

    Gap変動値 = (3 - 2) ÷ 2 = 0.5

  すなわち、A面の干渉縞はGapを0.5μm動かすと、明暗が1サイクルします。

  では、Gapを0.5μm動かした時のB面の明暗サイクル数を求めます。式3より、

    B面の明暗サイクル数 = (11 ÷ 1) - (10 ÷ 1) = 1

  よって、B面の明暗はA面と同様に1サイクルします。
  従って、Gap変動方式でフリンジスキャンをすると、
  A面とB面で同じように縞の明暗が変調されるので、
  装置はA面とB面の高さの違いが認識出来ずに、同一平面として見てしまいます。


 F) FSI方式:

  A面の干渉縞の明暗を1サイクル変調させるには、
  レーザー波長を1μmからどれだけ変調させればよいかは、以下で計算出来ます。
  ここでは、Gapを1μmとします。

  今、
    U = (光路長÷変調後のレーザー波長)
    V = (光路長÷変調前のレーザー波長)
  としたときに、

    干渉縞の明暗サイクル数 = U - V  (式4)

  と書けます。すると、式4より、

    変調後のレーザー波長 = 2 ÷ (1 + (2 ÷ 1)) = 0.67 

  すなわちA面の干渉縞は、レーザー波長を1μmから0.67μmまで変調すると、
  明暗が1サイクルします。
  では、レーザー波長を1μmから0.67μmまで変調した時の
  B面の明暗サイクル数を求めます。式4より、

    B面の明暗サイクル数 = (10 ÷ 0.67) - (10 ÷ 1) = 15 - 10 = 5

  よって、B面では明暗が5サイクルします。

  従って、FSI方式でフリンジスキャンをすることにより、
  A面とB面での明暗サイクルが異なりますので、
  フリンジスキャン時の正弦波の周波数を解析することにより、
  A面とB面の高さを測定する事が出来ます。



このように、FSI方式でフリンジスキャンを行うと、
面の高さに比例する正弦波(縞の明暗)が得られるので、
正弦波の周波数を解析することにより、
奥まった面の平面度、面と面の平行度・高さが高精度に測定出来ます。

弊社ホームページに、MSPの測定原理について簡単に解説しておりますので、
そちらも是非ご参照下さい。URLを下記します。


垂直入射干渉計の測定原理


MSPはまったく新しい3次元測定機ですので、
今まで諦めていた測定のお役に立てるかと思います。

デモ測定は随時受け付けておりますので、
どうぞお電話やメール、Webページ等からお問い合わせ下さい。
お待ちしております。


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