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2010.03.30

D-0013. 温度と平面度 — TS

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温度と平面度

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「知って得する干渉計測定技術!」
2010年3月30日号 VOL.013

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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 以前測定した結果と違う平面度になった。調査してほしい。
というご依頼をお客様から受けることがあります。

 原因はいくつか考えられる場合が多いのですが、
その中でしょっちゅう話題になるのが、温度起因の測定差です。

 一般に1mの長さの物質が1℃(1K)の温度変化をした場合に
その長さの物質はミクロンレベルの伸縮をすることが知られています。
その伸縮の割合を線膨張率と言います。

 伸び分⊿Lは以下の式で表されます。
⊿L=α・L・⊿T(⊿L:伸び、α:線膨張率、L:長さ、⊿T:温度変化)

 温度変化が下降変化であった場合、⊿T<0になります。
α>0とすると、⊿L<0となり、物質は縮むことになります。
またαはα>0の場合が一般的ですが、α<0のものも存在し、
その時は温度上昇変化(⊿L>0)に対して物質は収縮(⊿L<0)します。

 弊社でよく測定で扱う材料は金属、無機・酸化物、樹脂に大別されます。
いくつかピックアップしてみます。

アルミニウム    ~23μ/K
SUS304ステンレス  ~18μ/K
アクリル樹脂    ~7.0μ/K
ポリイミド樹脂   ~4.9μ/K
アルミナセラミック ~7.1μ/K
シリコン      ~2.6μ/K
パイレックスガラス ~2.8μ/K
溶融石英      ~0.5μ/K
※但し、μ=0.000 001。Kはいまの場合、温度差を扱っているので℃と同義。


 金属は比較的伸縮しやすい材料です。次に樹脂が伸縮しやすく、
無機・酸化物は比較的伸縮しにくい材料です。

 TROPELの平面度測定機で扱う測定物は最大φ200mm程度です。
よく測定されている物は100mm前後の大きさ物が多いようです。
 0.1mくらいの物が1℃温度変化した場合の伸縮量は10分の数ミクロン程度と
見積もられますが、測定物が金属の場合は数ミクロンは伸縮する可能性があります。
2℃変化すれば、更に倍伸縮することになります。

 この物理的な変化が表面形状に及ぼす影響がどの程度あるのか見積もることは
ほとんど無理ですが、傾向を知るには有効であることが多いようです。

 TROPELの測定機に標準で付属している校正原器はα=-0.2μ/Kの低膨張ガラスを
使用しています。およそφ100mmのガラス材料です。以前、実験的に1℃の温度差を
周期的に繰り返す環境で、校正原器を繰り返し測定したところ、平面度の最大と
最小の差が約0.02μmという結果が出ました。

 ⊿Lのオーダーと平面度の測定差のオーダーは私の経験上、ほとんど同じになる
場合が多いようです。
 また、平面度測定に限らず、三次元測定などの形状・寸法測定でも
ミクロンオーダーの測定をする場合は温度管理、空調管理にも気を配って
おきたいものです。


--
T.S

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