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2011.04.10
D-0037. 倍率と開口数の関係 — TT
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 倍率と開口数の関係 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2011年4月10日号 VOL.037 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 光学測定機を設計する際、まず基準として考えなくてはならないことがあります。 その光学系を使って人が何かを観察するのであれば、 ここでいう基準とは、人の「目」です。 現在では、光学系で得た信号をコンピュータ処理することが非常に多くなっています。 この場合、目の代わりとなる大変優れたセンサーが存在します。 それは、「CCDカメラ」です。 従って、光学測定機の光学系は、使用目的を満足するように 「CCD」を基準として設計することになります。 今、平面度を測定する光学系を設計しようと考えたとします。 測定面のサイズがCCDのサイズに投影されるようにすると、 倍率が決まります。 実は、用途と倍率が決まった時点で、光学系が大方決まってしまう関係式があります。 以下、光学系の種類に関係なく、一般的に成り立つ「倍率と開口数の関係式」を導出します。 像側と物体側の開口数をそれぞれ 像側 : NA = sinθ 物体側: NA’= sinθ’ とします。 (NAは、屈折率を n として、n×sinθ ですが、空気中の n=1 としています。) レンズの径を D とします。 像側にて、 CCDから光軸に対してθでレンズに入射する光線と主面との交点を P とし、 光軸上のCCDの点からPまでの距離を L とします。 同様に物体側にて、 物体から光軸に対してθ’でレンズに入射する光線と主面との交点を P’ とし、 光軸上の物体からP’までの距離を L’ とします。 すると、 sinθ = D / (2L ) sinθ’= D / (2L’) と書き表せますので、 L / L’= sinθ’/ sinθ = NA’/ NA となります。 ここで、L / L’は、倍率 m になるので、 m = NA’/ NA という関係式が得られました。 さて、NA は解像度と焦点深度を決定してしまうということを 以前のメールマガジンで紹介致しました。 (010. 焦点深度の式の導出) 倍率 m が決まり、平面度測定の目的のために NA’を小さく取ると、 像側の NA も決定してしまい、解像度が決まってしまいます。 つまり、横分解能が犠牲になります。 しかし、平面度を測定するという目的には、むしろ好都合です。 表面形状から平面度を解析するには、 空間周波数の高い成分をフィルタリングする必要があるからです。 もし、平面度と粗さのどちらも測定したい場合は、 それぞれの目的にあった測定機を用意する必要があります。 粗さ測定機のデータをつなぎ合わせたところで、平面度の測定はできません。 それらしい結果を作ることはできるかもしれませんが、 実際何を測定しているのか分からなくなります。 平面度測定機で、単にレンズの倍率を上げても粗さは測定できません。 NA’が一定なら、m が大きくなった分、NAが小さくなり、逆に解像度が落ちます。 目的に合った測定機をご紹介するのも我々エスオーエルの仕事です。 サンプル測定やデモ測定も承っておりますので、 お気軽にお問合せ下さい。 -- 高野智暢