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2011.12.10

D-0050. フリンジスキャンの位相差と光強度 — TT

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フリンジスキャンの位相差と光強度

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「知って得する干渉計測定技術!」
2011年12月10日号 VOL.050

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

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今夜は、皆既月食です。
21:45 から部分食が始まり、23:05~23:58 に皆既月食となるようです。
そして部分食の終りが 25:18 の予定です。
この 21:45~25:18 は月が地球の本影に入る時間帯です。

実は、太陽が点光源でないことから、地球の半影が存在し、
20:31~21:45 と 25:18~26:31 の時間帯は、半影食になっています。

この半影の効果は、X線CT装置において生じるボケと同じ原理です。



さて、話題を変えて、
今回は「フリンジスキャンの位相差と光強度」を計算してみます。

干渉計において、
  参照光 : f(t) = A sin ωt ,
  テスト光 : g(t) = A sin (ωt + φ)
を考えます。φは位相差です。

干渉の結果、得られる光強度は、

  h(t) = ( f(t) + g(t) )^2

なので、代入して展開します。

  h(t) = A^2 ( sin^2 ωt + sin^2 (ωt + φ) + 2sin ωt sin (ωt + φ) )

となるので、sinαsinβ = ( -cos(α+β) + cos(α-β) )/2 を使うと、

  h(t) = A^2 ( 2 - cos 2ωt - cos 2(ωt + φ) - 2cos (2ωt + φ) + 2cosφ )/2

です。さらに cos (α+β) = cosαcosβ - sinαsinβ を使うと、

  h(t) = A^2 ( 2 - cos 2ωt - cos 2ωt cos 2φ + sin 2ωt sin 2φ
               - 2cos 2ωt cosφ + 2sin 2ωt sinφ + 2cosφ )/2

のようになります。
ここで、1周期分 [0,2π] で t について積分すると、

  H(φ) = ∫h(t)dt = 2πA^2 ( 1 + cosφ )

となります。

光速度 c = 300,000km/s と CCDのサンプリング時間 τ = 10ms 、
そして、光の波長 λ = 633nm を使うと、CCDが積算する光強度 I が計算できます。

  T = cτ/λ = 4.7 × 10^12

とすると、

  I = T×H(φ) = 2πTA^2 ( 1 + cosφ )

です。定数を B = 2πTA^2 とまとめると、

  I = B( 1 + cosφ )

です。
ここで、1周期に満たなかった半端なサンプリングが気になるかもしれませんが、
T の大きさに比べると、半端な ∫h(t)dt は極めて小さいので誤差に埋もれてしまいます。

光強度 I は、位相が合っているときは 2B 、
位相がπずれているときは 0 です。

このように、フリンジスキャンで位相差を変化させていけば、
正弦波を得ることができるのです。


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高野智暢

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