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2012.08.10

D-0060. FFT解析による二次フリンジ分離 リベンジ — TT

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FFT解析による二次フリンジ分離 リベンジ

発行:エスオーエル株式会社
https://www.sol-j.co.jp/

連載「知って得する干渉計測定技術!」
2012年8月10日号 VOL.060

平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、
無料にてメールマガジンを配信いたしております。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



みなさん、こんにちは。


今回は、過去の計算間違いの清算をしようと思います。

たまに計算間違いのご指摘を頂くことがありますが、表現の曖昧さによる語弊が
原因であることが多く、その返信を書くのも楽しみにしております。

これまで明らかな計算間違いはないと思っていましたが、この前、
見つけてしまいました。2年半程前に書いた
  009. FFT解析による二次フリンジ分離
です。ソフトウェアが二次フリンジを分離する計算原理をご紹介しましたが、
例として計算したものが間違っていました。

もちろん、実際のソフトウェアは正しく計算していますので、ご心配なく。



では、もう一度計算し直してみます。【状況設定】は、
  004. 空間コヒーレンス調整による二次フリンジ除去
を参照下さい。(こちらは間違っていないはずです。)

まとめると、
  参照平面上には、点O, P1, P2 があります。
  測定対象基板の表面上には、点F1, F2 があります。
  測定対象基板の裏面には、点B があります。

  光Rは、点Oでの反射光、
  光Uは、点O → F1 → P1 を辿る光、
  光Vは、点O → F1 → B → F2 → P2 を辿る光です。

  点0 での入射角を t0、
  点F1での入射角を t1、点B での入射角を t2 とします。

レーザーの波長 λ = 0.6328um 、
透明な基板の厚みを x = 1000um 、屈折率を n = 1.5 、
参照平面と測定対象基板とのギャップ g = 200um
としておきます。


点P1から光線Rに垂線を下ろし、交点を点M1とします。
点Oで波面分割したRとUの光路長差 D1 が計算できて、

  D1 = OF1 + F1P1 - n×OM1
   = 2g/(cos t1) - n×2g(tan t1)(sin t0)
   = 2g/(cos t1) - 2g(tan t1)(sin t1)
   = 2g/(cos t1) - 2g(sin t1)^2 /(cos t1)
   = 2g( 1 - (sin t1)^2 ) /(cos t1)
   = 2g(cos t1)

同様に、点F2から光線Uに垂線を下ろし、交点を点M2とします。
UとVの光路長差 D2 は、

  D2 = n×(F1B + BF2) - F1M2
   = 2xn(cos t2)

そして、入射角を変化させた結果、
  t1’ = t1 + d1,
  t2’ = t2 + d2
のように変化したとします。

t1 = 85°とすると、
  D1 = 2g(cos t1) = 34.8623um
です。

入射角を変化させ、1周期分変調させた場合の 角度変化分 d1 を求めます。
このとき、光路長は D1’ = D1 + λ になっていますので、
  D1’ = 35.4951um
に変化しています。

D1’ = 2g(cos t1’) なので、
  t1’ = arccos (D1’/2g) = 84.9090°
と計算できることから、
  d1 = t1’ - t1 = -0.0910°
となります。

また、sin t1 = n sin t2 なので、
  t2 = 41.6156°
です。従って、

  D2 = 2xn(cos t2) = 2242.8519um

さらに、sin t1’ = n sin t2’ なので、

  t2’ = arcsin(sin t1’/1.5) = 41.6085°

となり、

  D2’ = 2xn(cos t2’) = 2243.1000um

です。これにより、

  D2’- D2 = 0.2481um

であることが分かります。よって、最終的に、
一次フリンジの動きと二次フリンジの動きの比が計算でき、

(D1’-D1)/(D2’-D2) = 0.6328/0.2481 = 2.55

つまり、一次フリンジは二次フリンジより 約2.55倍 早く動くことが分かります。


計算をやり直しましたが、結論はVOL.009と変わりません。
このように、一次フリンジと二次フリンジの動きに違いがあるため、
FFT(高速フーリェ変換)によって、この2つを分離し、
それぞれを解析することができます。

今度こそ、計算間違えはないと思いますが、
何かありましたら、ご連絡お待ちしております。


--
高野智暢

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