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2017.10.25
D-0132. レンズの収差について — FK
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ レンズの収差について 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2017年10月25日号 VOL.132 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション例などをテーマに、 無料にてメールマガジンとして配信いたします。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 皆様こんにちは。営業技術グループの桑野です。 台風も過ぎ去り、急に気温が上がりました。 すっかり秋になり涼しくなったかと思えば、今週は暖かくなったりと、 身体がなかなか追いつきません。 皆様も体調には十分お気を付けください。 本日は、『収差』についてお話します。 収差は、レンズを考える上で切って離すことのできないものです。 収差とは、結像面にて像がぼやけたり、歪んだり、像の色が滲んだりする 現象のことをいいます。 物体から出た光線は、スネルの法則に従って屈折を繰り返し、 結像面の1点に集まるという性質があります。 しかし、厳密には完全に1点には集まらず、像がぼやけることがあります。 収差は大きく2つに分類されます。 1つはザイデル収差と呼ばれるもので、単色光でも発生する収差です。 もう1つは、ガラスの屈折率が波長により異なることによって生じる 色収差と呼ばれるものです。 特にザイデル収差は、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差の 5つに分類されます。 それらの特徴を簡単に説明します。 球面収差:光軸上で光が1点に集まらない コマ収差:光軸から離れたところで、点像が尾を引く 非点収差:縦方向と横方向で像のできる位置がずれる 像面湾曲:像ができる面が、平面ではなく湾曲している 歪曲収差:光軸から離れると倍率が変わり、像がゆがむ ザイデル収差は幾何光学的な分類方法ですが、波動光学においても収差は 波面収差として説明されます。 (実際にザイデル収差を数式を使って導く場合、波面収差を考える必要があります。) FlatMasterやUltraFlatにおいても、参照平面における波面収差が測定結果に 大きく影響を及ぼします。 そのため、平面度1μm以下となるようなサンプルを測定する場合は、 その影響をなくすためにReference Flatという校正原器が必要となります。 UltraFlatでは、λ/100のReference Flatを使用し、波面収差を補正しています。 P-V値で約100nmの補正を行っていますので、仮にReference Flatなしで 平面度100nm程度のフォトマスクを測定しようものならば、 何を測定しているのか分からなくなってしまいます。 少し話が逸れてしまいましたが、上記の収差を理解し対策することが重要となります。 次回以降は、各収差についてもう少し深堀りしていき、最終的にザイデル収差を 数式を使って導出していきたいと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。 来月も宜しくお願い致します。 -- 桑野