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2017.12.27
D-0136. レンズの収差について -その3- — FK
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ レンズの収差について -その3- 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2017年12月27日号 VOL.136 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション例などをテーマに、 無料にてメールマガジンとして配信いたします。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 皆様こんにちは。営業技術グループの桑野です。 2017年最後のメルマガとなりました。 タイトルにもありますように、今回も『収差』について引き続き 見ていきたいと思います。 前回はザイデルの式より、収差による横ずれ量、縦ずれ量がどのような パラメータで構成されているか確認しました。 この式から、各収差についてもう少し詳しく見ていこう、というところでしたね。 ザイデルの式は以下です。 ΔX = A(r^3)sinφ + B(r^2)y sin2φ + Cr(y^2)sinφ ΔY = A(r^3)cosφ + B(r^2)y(2 + cos2φ) + (C + D)r(y^2)cosφ + E(y^3) ΔX:収差による横ずれ量 ΔY:収差による縦ずれ量 r:光線通過点のレンズ射出瞳上の極座標の径 φ:光線通過点のレンズ射出瞳上の極座標の角度 y:物体の高さ(入射高) 上記式のA、B、C、D、Eという係数がそれぞれ球面収差、コマ収差、非点収差、 像面湾曲、歪曲収差の収差係数でしたね。 では早速ですが、1つずつ見ていきましょう。 まずはAの球面収差についてです。 球面収差だけに注視したいため、B~Dを0とします。 ΔX = A(r^3)sinφ ΔY = A(r^3)cosφ sinφとcosφを消去するために両辺を2乗して足し合わせます。 (ΔX)^2 + (ΔY)^2 = (A(r^3))^2 円の方程式と同じ形になりました。 つまり、球面収差の係数Aが残っている(0ではない)場合、理想の結像点ではなく、 理想の結像点を中心としてr(光線通過点のレンズ射出瞳上の極座標の径)の3乗に比例した 半径の円が発生することとなります。 また、rの3乗でずれの大きさが比例するため、大口径レンズの周辺で大きく球面収差の 影響が出ることが分かります。 この調子で次にBのコマ収差を見ていきましょう。 同様に、係数Bを除くA~Eを0とします。 ΔX = B(r^2)y sin2φ ΔY = B(r^2)y(2 + cos2φ) 球面収差の時と同様に、sinφとcosφを消去するために変形します。 縦ずれ量の式を展開します。 ΔY - 2B(r^2)y = B(r^2)y cos2φ 両辺を2乗し、足し合わすと、以下の式となります。 (ΔX)^2 + (ΔY - 2B(r^2)y)^2 = (B(r^2)y)^2 つまり、コマ収差の係数Bが残っている場合、理想の結像点から縦(Y軸)方向に 2B(r^2)yだけ離れた位置に中心を持つ、半径B(r^2)yの円となります。 従って、極座標の径rの2乗と入射高yに比例して、 移動しながら円の大きさは変化することが分かります。まるで台風のようですね。 次は非点収差の係数Cと像面湾曲の係数Dについてです。 CとDは同じ変数がかかっているので、2つまとめて考えます。 今までと同様にA、B、Eを0として考えますが、CとDのどちらかが0の場合と、 C + D = 0の場合に分けて考えます。 まず、C = 0の場合は、 ΔX = 0 ΔY = Dr(y^2)cosφ となり、C + D = 0の場合は、 ΔX = Cr(y^2)sinφ ΔY = 0 となります。 C = 0の時は入射高yの2乗と極座標の径rに比例して非点収差の縦ずれが起き、 C + D = 0の時は横ずれが生じます。 では、D = 0の場合はというと、ABと同様に円の方程式に当てはまります。 (ΔX)^2 + (ΔY)^2 = (Cr(y)^2)^2 つまり、D = 0の時、極座標の径rと入射高yの2乗に比例した半径の円のように、 縦も横もずれる像面湾曲が発生することが分かります。 これらもrに比例するため、絞りをしぼることで多少なり影響を軽減することが可能であると 分かります。 最後に歪曲収差の係数Eについてです。 同様にA~Dを0とすると、 ΔX = 0 ΔY = E(y^3) となり、入射高のみが変数として表されます。 従って、光線は一点に収束するが、入射高yが大きくなるにつれ、その3乗に比例して 理想の結像点からずれる、ということです。 また、係数Eの値によって、樽型になるか糸巻型になるかに分かれるようです。 まだまだ調べれば調べるほど細かい内容が出てきますが、一先ず収差については ここまでとします。 最後までお読みいただきありがとうございました。 来年も宜しくお願い致します。良いお年を。 -- 桑野 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎展示会・学会情報◎ ・エレクトロテストジャパン2018 (ネプコンジャパン) 日時:2018/1/17(水)~19(金) 場所:東京ビッグサイト 東4ホール (小間番号 E31-14) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー