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2020.04.15
D-0158. フリンジスキャンとレーザー入射角度について — Y.O
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ フリンジスキャンとレーザー入射角度について 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2020年4月15日号 VOL.158 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション例などをテーマに、 無料にてメールマガジンとして配信いたします。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ こんにちは。営業技術グループの落合です。 今回は、 Tropel社製平面度測定機FlatMasterシリーズの フリンジスキャンとレーザー入射角度 についてお話ししたいと思います。 前回までのメルマガ(VOL.155、VOL.157)で、 “ FlatMasterは干渉計の中にあるガルボと呼ばれている 平行平面板を微小に回転させることによって干渉の条件を変え、 縞を流す作業(フリンジスキャン)を行っています。 縞が流れるスピードは、 1縞感度(入射角度)、2ガルボの回転速度、そして3ギャップに依存します。” と記載しました。 今回は「1縞感度(入射角度)」に着目します。 フリンジスキャンのとき、 入射角度θはどれくらい微小に(Δθ)動いているのでしょうか。 確かめてみます。 パラメータは下記です。 ・ギャップ :t ・レーザー波長 :λ ・レーザー入射角度:θ ・入射角度の変動 :θ ⇒ θ + Δθ ・光路長差の変動 :2tcosθ ⇒ 2tcos(θ+Δθ) ・ギャップ :参照面(プリズム表面)と測定面の距離(隙間) ・レーザー入射角度 :測定面へのレーザー入射角度 ・光路長差 :参照光(プリズム表面での反射光)と テスト光(測定面での反射光)との光路長差 必要な式を2つ記します。 ・縞感度 :S = λ / 2cosθ [μm/fr] 式(1) ・光路長差の変動とサンプリング周期 :2tcos(θ+Δθ) - 2tcosθ = 1.5λ [μm] 式(2) 波長1.5周期からサンプリングする設定のため、 式(2)からΔθが求まります。 例えば、 λ = 0.635[μm] t = 200[μm]、 入射角度θで縞感度S = 1.8[μm/fr] の場合、 式(1)、式(2)から計算すると、入射角度の変動は θ = 79.840[deg] ⇒ θ + Δθ = 79.702[deg] Δθ= -0.148[deg] です。 次に、ギャップをt = 200[μm]から 300[μm] と変更した場合はどうでしょうか。 同じく式(1)、式(2)から θ = 79.840[deg] ⇒ θ + Δθ = 79.748[deg] Δθ= -0.092[deg] と、装置は入射角度の変動幅を変えます。 ここで、装置にいじわるな事をします。 仮に、 装置(ソフトウェア)に、t = 300[μm]の設定を教えて、 実機のギャップがt = 200[μm]になっていたら、 どうなるでしょうか。 答えは、式(2)から、 光路長差の変動を1.5λにしたいのに、1.0λになってしまい、 装置で想定するサンプリングを正しく行えなくなってしまいます。 (実際には、設定ミスを検知する機能があります。) 入射角の変動幅|Δθ|が0.148[deg]か0.092[deg]か、微小な差ですよね。 仮に人の目で認識しようとしても不可能な量です。 しかしFlatMasterにとっては、意味のある大きな差です。 今回は、 フリンジスキャン中のレーザー入射角度について追ってみました。 干渉計の世界のスケールを少しでも感じ取って頂けましたら幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。 -- Y.O