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2020.05.13
D-0160. FMとMSPの参照面の工夫 — E.N
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ FMとMSPの参照面の工夫 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2020年5月13日号 VOL.160 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション例などをテーマに、 無料にてメールマガジンとして配信いたします。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 皆様こんにちは。 新型コロナウィルスの影響で、 弊社も約8割の従業員が在宅勤務をしております。 5月いっぱいで、元の生活に戻れるのでしょうか。 大変な時期で、ストレスと感じている方もいると思いますが、 私は後ちょっとと思って(どうなるか分かりませんが)、 日々を過ごしています。 本題に入ります。 白色光にたくさんの波長(色)の光が混ざっていることを、 プリズムで証明した実験があります。 FlatMasterの参照面にはプリズムが使われています。 しかし目的は、白色光から虹色を取り出して、 綺麗だな、と観察することではありません。 そして、そもそも光源は635nmの赤色半導体レーザです。 (私がメーカのCorning Troeplに訪問した際には、 オフィスにプリズムがおいてあり、 太陽の光によって壁に虹色のアートが出来ていましたが。 きっとあれは綺麗だなと癒されるために置いている と思っています。目的は様々?) FlatMasterは斜入射干渉計で、 その入射角度は78~88度(縞感度による)です。 もし、単なるガラス板(平行平面板)を使用した場合、 これを実現するためには、 ガラス板に対しても入射角度と同じ角度で レーザー光を入射させる必要があります。 ここで考えるのが、光の反射率です。 光は入射角度が大きいと、沢山反射してしまいます。 しかも、70度を超えたあたりから 急激に反射率が上がります。 ガラス板の裏面に入射される前の光の強度を100%とすると、 88度で入射した場合、約80%が反射してしまい、 透過できる光は約20%、 更にガラス板の表面でも80%が反射して、 サンプル表面まで届く光はたったの4%となってしまいます。 一方で、プリズムの場合、 プリズムへの最初の入射角度は10度未満なので、 約94%の光がプリズム表面に入射し、 プリズム表面への入射角度は約40度なので、 ここで反射する光も数%、 よってサンプルの表面に届く光は約90%です。 また、MSPという装置も工夫がされております。 MSPは垂直入射干渉計ですので、入射角度は0度です。 参照面にはプリズムではなくガラス板を使用しています。 ガラスに垂直に入射した場合、反射率は約4%と低いですが、 平行平面板の場合には、 表と裏の両方から同じ角度(0度)で反射があり、 それらの反射光が干渉を起こします。 装置の平行平面版の厚みムラを測定したい というお客様からの要望はありませんので、 この干渉は邪魔となります。 そこで、参照面と反対の面を斜めにし、平行平面板ではなく、 断面がくさび型のようなガラス板を採用しています。 そうすることで、ガラス板の表と裏からの反射により 干渉が生じることを防ぐことが出来ます。 安いから、故障しずらいから、交換しやすいから、 原理的に必要だから、いろんな理由があって 部品が選ばれている事を知ると、楽しいです。 最後に、私はしばらくの間 メルマガをお休みすることになりました。 私の今までのメルマガが、 皆さんのちょっとした暇つぶしになっていれば、本望です。 また、メルマガを再開する機会があれば 読んでいただけると嬉しいです。 それではお身体に気を付けて、お仕事頑張ってください。 一刻も早く、コロナに打ち勝ち、 皆さんが元の生活に戻れることを願っています。 最後までお読み頂きありがとうございました。 -- E.N