メールマガジン・新着情報一覧
- TOP
- メールマガジン・新着情報一覧
- D-0170. FlatMaster-Wafer仕様: 保持可能なウェーハの重さ — E.N
2021.06.09
D-0170. FlatMaster-Wafer仕様: 保持可能なウェーハの重さ — E.N
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ FlatMaster-Wafer仕様: 保持可能なウェーハの重さ 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2021年6月9日号 VOL.170 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション例などをテーマに、 無料にてメールマガジンとして配信いたします。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ お久しぶりです。 Tropel営業技術の野中です。 約一年間、育児のためにお休みを頂いておりましたが、 5月に復帰いたしました。 これからまた皆さんとお仕事できる事を楽しみにしております。 よろしくお願いいたします。 私には去年7月に誕生したもうすぐ11か月になる娘がいます。 親ばかではございますが、私にとっては世界で一番可愛いです。 0歳の身で、4月から保育園に預けられ、 毎日6.5h親のいない環境に置かれています。 ほんの2週間前までは、毎朝のお別れ時、 私も娘も涙なしではいられませんでした。 しかし、最近では私が「行ってきます」と言うと、 笑顔でバイバイと手を振ることもしばしばです。 環境に順応していく娘を見て、 嬉しいような、少し寂しいような気持ちになります。 今回はFlatMaster-Wafer仕様の3ポイント吸着で、 保持可能なウェーハの重さについて考えてみたいと思います。 ウェーハを測定するため、 吸着チャックを装置に立てかけた状態の力のつり合いの式を立てます。 ウェーハの裏面を吸着し、表面がわずかに下(重力方向)を向く前傾です。 F = N + mg sinθ -- (1) f = mg cosθ -- (2) ただし、 F : 吸着力、 N : 垂直抗力、 m : ウェーハの重さ、 g : 重力加速度、 θ : ウェーハの立てかけ角度、 f : 摩擦力 です。 ウェーハが滑りだす時を考えるので、 f = μN -- (3) (μ : 静止摩擦係数) 吸着力Fは、3点吸着なので、 F = 3 * A * P = 3 * ((π/4)*d^2) * P -- (4) ただし、 A : 吸着パッドの穴の面積 d : 吸着パッドの穴の径 P : 真空到達圧力 です。 m について解くと、(1) ~ (3) より、 m = F/(g * (cosθ/μ + sinθ)) これと (4) より、 m = 3π(d^2)P / (4g ((cosθ/μ)+sinθ) ) -- (5) 静止摩擦係数μは、ウェーハを吸着(水平に)した状態で、 横から引っ張り、ウェーハが動き始める時の 力 T を測定すれば以下のように計算出来ます。 μ = T/mg 今回は、μ=0.4 あるいは μ=0.5 と仮定した場合で計算してみます。 d = 4.5 [mm] g = 9.8 [m/s^2] P = 75 [kPa] = 0.075 [N/mm^2] θ= 5° を (5) に代入すると、 保持できるウェーハの重さはそれぞれ m(μ=0.4) = 0.1416 [kg] m(μ=0.5) = 0.1756 [kg] となります。 Si、LT、SiC、水晶、GaNでそれぞれ以下の条件で ウェーハの重さを計算してみます。 【条件】 径: φ200[mm] (20[cm]) 厚さ:t500[um] (0.05[cm]) → 体積: 15.7 [cm^3] 【密度】 p(Si) : 2.33 [g/cm^2] p(LT) : 7.45 [g/cm^2] p(SiC) : 3.22 [g/cm^2] p(水晶) : 4.4 [g/cm^2] p(GaN) : 6.15 [g/cm^2] <<重さ>> m(Si) : 36.6 [g] m(LT) : 117 [g] m(SiC) : 50.6 [g] m(水晶) : 69.1 [g] m(GaN) : 96.6 [g] となります。 以上のウェーハは全て吸着可能という結果になりました。 安心しました!! 最後までお読みいただきありがとうございました。 -- E.N