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2021.12.15
D-0177. LSL(ローカルスロープリミット)による測定可能な最大ソリ — H.S
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ LSL(ローカルスロープリミット)による測定可能な最大ソリ 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2021年12月15日号 VOL.177 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション例などをテーマに、 無料にてメールマガジンとして配信いたします。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ こんにちは、営業技術グループの佐々木です。 今回も日々の学びを整理してOutputの場としていきたいと思います。 普段測定可能なソリ量の質問を頂いた際に、 ローカル・スロープ・リミットを用いて説明をしています。 その際にどの程度までのソリ量を測定できるかという疑問を持ったので、 今回はFMで測定可能なソリ量の目安を ローカル・スロープ・リミット(以下LSL)より計算しました。 LSLとは、FMが許容している局所勾配のことです。 測定サンプルの勾配が大きいとCCDカメラのピクセル間で、 1ピクセル内に複数の干渉縞が入り、 フリンジスキャンによって干渉縞を流しても、 そのピクセルから明暗の変調が得られなくなり、 隣り合うピクセルのデータが欠落します。 この測定限界の勾配をLSLと呼び、 Sensitivity/2(ピクセル間の勾配) で計算することが出来ます。 今回は最大のソリ量を算出するのでLSLを以下の式で使用します。 LSL [um/mm] = (1/2)× Sensitivity [um/frg] / 横分解能 [mm/pixel] ・・・(1) FMの横分解能(ピクセルサイズ)は、 CCDカメラの測定範囲であるフィールドサイズを480pixelで割ったものとします。 基本的にフィールドサイズはウェーハサイズより少し大きい値が設定されているので、 4インチウェーハの場合、直径は100mmなのでフィールドサイズは120mmとして計算します。 よって4インチウェーハ測定時の横分解能は、以下のようになります。 120mm / 480pixel = 0.25mm/pixel 同様に6インチ、8インチの横分解能を算出するとそれぞれは以下のようになります。 今回は、フィールドサイズ = ウェーハサイズ + 20mm とします。 4インチ(120mm):0.25mm/pixel 6インチ(170mm):0.35mm/pixel 8インチ(220mm):0.45mm/pixel 以上より、式(1)を用いて、それぞれのインチサイズとSensitivityでLSLを 算出すると以下のようになります。 4インチ: 4.0um/mm(2um/frg) 8.0um/mm(4um/frg) 16.0um/mm(8um/frg) 6インチ: 2.8um/mm(2um/frg) 5.6um/mm(4um/frg) 11.3um/mm(8um/frg) 8インチ: 2.2um/mm(2um/frg) 4.4um/mm(4um/frg) 8.7um/mm(8um/frg) 次にLSLから最大測定可能ソリ量を計算しました。 放物線の形状を以下の式とすると y = ax^2 ・・・(2) となり、傾きは以下となります。 dy / dx = 2ax 測定サンプルエッジである x座標 m にて、傾き L が最大となると、 L = 2am a = L / 2m この時のソリ量 ymax は、式(2)より以下のようになります。 ymax = (L / 2m) * m^2 ymax = Lm / 2 以上より、先ほど算出したでLSLをLに代入し、mにウェーハサイズの半径を代入し、 それぞれのインチサイズとSensitivityにおける最大ソリ量を 算出すると以下のようになります。 4インチ: 100um(2um/frg) 200um(4um/frg) 400um(8um/frg) 6インチ: 106um(2um/frg) 212um(4um/frg) 424um(8um/frg) 8インチ: 109um(2um/frg) 218um(4um/frg) 436um(8um/frg) これにより、FMで測定可能なソリ量の目安を算出できました。 計算は以上となります。 これはあくまでもウェーハが放物線状である場合の目安であり、 ウェーハの形状で条件はもっと厳しいものになります。 しかしSensitivityの値を大きくする(感度を下げる)ことにより、 理論的には測定可能なソリ量が上がることを確認できました。 ちなみに、フィールドサイズを フィールドサイズ = ウェーハサイズ × 120% のように、ウェーハサイズに比例して取った場合も計算してみます。 横分解能は、 4インチ(120mm):0.250mm/pixel 6インチ(180mm):0.375mm/pixel 8インチ(240mm):0.500mm/pixel LSLは、 4インチ: 4.0um/mm(2um/frg) 8.0um/mm(4um/frg) 16.0um/mm(8um/frg) 6インチ: 2.7um/mm(2um/frg) 5.3um/mm(4um/frg) 10.7um/mm(8um/frg) 8インチ: 2.0um/mm(2um/frg) 4.0um/mm(4um/frg) 8.0um/mm(8um/frg) 最大ソリ量は、 4インチ: 100um(2um/frg) 200um(4um/frg) 400um(8um/frg) 6インチ: 100um(2um/frg) 200um(4um/frg) 400um(8um/frg) 8インチ: 100um(2um/frg) 200um(4um/frg) 400um(8um/frg) このように、フィールドサイズをウェーハサイズに比例して取った結果は、 答えがフィールドサイズに依存しなくなります。 今回は以上です。 最後までお付き合いいただきありがとうございました。 -- H.S