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2022.08.17
D-0185. 透明品測定時のギャップ調整 — N.T
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 透明品測定時のギャップ調整 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2022年8月17日号 VOL.185 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ みなさま こんにちは。 営業技術の田中です。 FlatMaster には透明品の2次フリンジを利用して TTVを測定するGlassTTVオプションがございますが、 今回はその測定時のギャップ調整に関するお話をしようと思います。 通常の測定ではサンプル表面及び参照面からの反射光から成る 1次フリンジを利用し測定を行いますが、 2次フリンジ解析ではサンプル表面及びサンプル裏面(透過光)からの 反射光を利用し測定を行います。 過去のメルマガにもある通り、 1次フリンジと2次フリンジを利用して測定を行うためには、 入射角変化によるそれぞれの明暗変化の速度比が異なる必要があります。 (参考):D-0009. FFT解析による二次フリンジ分離 これは干渉計の測定原理上、 同一のピクセルに重なって表れてしまう1次及び2次フリンジの 明暗変化を分離して解析するためであり、 概ね3:1の速度比を推奨しています。 この速度比についてご質問を受けた際には ギャップの調整が有効とご案内しますが、 なぜギャップの調整が有効なのでしょうか。 今回改めて計算を行いましたので、ご紹介します。 g :空気層のギャップ t :サンプル厚み θ:サンプル表面での入射角 n :サンプルの屈折率 とし、また空気の屈折率を1すると1次及び2次フリンジ各変化速度は 下記の様に表す事ができます。 ・1次フリンジ 光路長差: f1(θ) = 2g cosθ ・・・[1] 変化速度: f1'(θ) = -2g sinθ ・・・[2] (参考):D-0173. Sensitivityの式の導出 ・2次フリンジ 光路長差: f2(θ) = 2t {n^2-(sinθ)^2}^(1/2) ・・・[3] 変化速度: f2'(θ) = -2t sinθcosθ/{n^2-(sinθ)^2}^(1/2) ・・・[4] (参考):D-0060. FFT解析による二次フリンジ分離 リベンジ 各光路長差の式についてはは過去のメルマガに詳細な記載がございます。 また[1]、[3]式それぞれをθについて微分することでθ変化時の 光路長差変化速度の式[2]、[4]が求められます。 また1次-2次フリンジ共に光路長差が光源の1波長分(635nm)変化する毎に 周期的に明暗変化が起こりますので、 光路長差の変化速度比が そのまま明暗変化の速度比と考えることができます。 以上から明暗変化速度比 F(θ) は 「1次フリンジ変化速度/2次フリンジ変化速度」として 以下の様に表すことができます。 変化速度比: F(θ) = f1'(θ)/f2'(θ) = g{n^2-(sinθ)^2}^(1/2)/(t cosθ) ・・・[5] この変化速度比の式から、 ギャップgを大きくするとF(θ)は増加する、 すなわち1次フリンジの明暗変化が2次フリンジに対し、 より速くなると分かります。 またθを大きくすることでも1次フリンジの変化が速くなりますが、 実際には入射角を大きくすることで 2次フリンジが薄くなってしまうため、 サンプル厚さや屈折率に合わせ ギャップを変更することが現実的な手段と言えます。 今回は以上です。 最後までお読み頂きありがとうございます。 -- N.T.