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2022.11.23
D-0188. サンプル表面の傾きと光の横ずれ — N.T
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ サンプル表面の傾きと光の横ずれ 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2022年11月23日号 VOL.188 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ みなさま こんにちは。 営業技術の田中です。 以前 FlatMaster で 8inch ウェーハを測定した際、 干渉縞の端部がフレームアウトしてしまった経験があります。 サンプルギャップと像の横ずれの関係は 以前のメルマガでも触れており、 実際に私もギャップの調節により 干渉縞の像全体を映すことができました。 (参考):D-0179. Gapと光の横ずれ https://www.sol-j.co.jp/mailmag/d-0179/ しかしその際のウェーハは反りの大きな凸型形状、 ギャップだけではなく測定表面の角度の影響によっても 端部の像が広がる様に 横ずれすることは無いのでしょうか・・・・・ 計算してみました。 モデルとしてはFMの縞感度の中で角度の影響が最も大きくなる 8μm/fringe、入射角87.7°の例で考えてみたいと思います。 まず表面の角度の限界ですが、 ローカルスロープリミットにより 4μm/pixelとなる際の角度が限界と考えられます。 これ以上では測定が行えません。 また8inch領域の場合のピクセルサイズは約0.5mm/pixelのため、 表面の角度の限界は、 (4μm/pixel) / (0.5mm/pixel) =8μm/mm 参照平面に対する角度で表すと、 arctan(0.008) = 0.46 [°] となります。 サンプルの表面が参照平面に対し 凸型に0.46°の傾きを持っている場合では、 両者が平行な場合と比べ、 反射光の参照平面への入射角は(0.46×2)° 大きくなると考えられます。 そしてサンプル表面で反射した光が 再度プリズムに入射するまでの横ずれ量は 入射角θ、サンプルギャップgを使用し 下記の様に表すことができます。 (横ずれ量) = g・tanθ 以上から、参照平面とサンプル表面が 平行な場合と0.46°の傾きを持つ場合について、 サンプルギャップは0.20mmとして横ずれ量を比較すると、 ・平行な場合 0.20 × tan(87.7°) = 5.0[mm] ・0.46°の傾きを持つ場合 0.20 × tan(87.7° + 2 × 0.46°) = 8.3[mm] 最悪の条件では約3mm程横ずれが発生する様です。 なかなか気を付けなければいけない様な値にも見えますが、 Mediumレンジ(4.0μm/fringe)についても計算すると、 横ずれ量は約0.3mmとなります。 tanのため90°ギリギリで急激に影響が大きくなる様ですね。 欠落が発生することも考えると ここまで限界に近い条件で測定を行うことは無いと思いますので、 やはり横ずれに関してはギャップの方が重要な様です。 今回は以上です。 最後までお読み頂きありがとうございます。 -- N.T.