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2023.04.19
D-0193. MSP の group index について — E.N
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ MSP の group index について 発行:エスオーエル株式会社 https://a13.hm-f.jp/cc.php?t=M380953&c=6090&d=eb6f 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2023年4月19日号 VOL.193 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション例などをテーマに、 無料にてメールマガジンとして配信いたします。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ こんにちは。 最近、市をまたぐ引越しをした関係で、 4月頭に娘の保育園を転園しました。 新しく、4人同じクラスに入園してきたのですが、 迎えに行っても私の娘以外は物怖じせず、 一切泣かずに玩具で遊んでいました。 私の娘は予想していた通り、初日は大泣き、 あらゆるドアを先生に開けさせ、ママを探していたそうです。 そんな娘で心配ですが、とても愛おしくも感じました。 早く慣れてくれるといいなと思います。 今日は、最近また問い合わせの増えてきた印象のある MSPに関するお話しです。 MSPは透明品の Optical Thickness や Optical Thickness Variation の測定が可能な装置です。 Optical Thickness と Optical Thickness Variation は、 屈折率分布を含む 厚み と TTV のことです。 厚み測定には、周波数解析という解析手法を使っています。 光源波長を約0.1nmずつ128ステップ変化させ、 干渉縞は『明るい~暗い』を繰り返します。 そして、その干渉縞の『明るい~暗い』を繰り返す回数(K)は、 光路長(厚みt×屈折率n)に比例します。 式で表すと、 t×n = ある係数 × K ----------(1) となります。このある係数は、周波数感度Sfなので、 t = K × Sf/n ---------(1’) Sfは以前メルマガで導出しており、 ( https://a13.hm-f.jp/cc.php?t=M380954&c=6090&d=eb6f ) 測定開始時の光源波長を λs、 測定終了時の光源波長を λe とすると、 以下の式で表せます。 Sf = λs × λe /{2(λs - λe)} -----------(2) (1’)に(2)を代入すれば、厚みが求められます。 しかし、ここで問題が出てきました。 (1’)には屈折率が含まれていますが、屈折率は光源の波長に依存します。 そしてMSPは測定中に波長を変更させています。 困りました。 (1)のようにシンプルな式で表すために、この n を導出してみます。 まず、(1’)を変形しておきます。 n = K × Sf/t ----------(1”) Kは、測定開始時と測定終了時の光路長が波長の何倍の長さなのか、 比較すると求められます。 測定開始時の光路長は、 Ps = 2 × t × ns です。これを ks × λs と置くと、 ks = 2 × t × ns /λs ----------(3) となります。 測定終了時も同様にして、 ke = 2 × t × ne /λe ----------(4) です。 ke - ks = K です。 この後使いやすいように、Kを変形しておきます。 K = ke - ks = (2 × t × ne /λe) - (2 × t × ns /λs) = 2t{(ne × λs) - (ns × λe)} /(λe × λs) -------(5) (1”)に、(5)と(2)を代入します。 n = K × Sf/t = 2t × Sf{(ne × λs) - (ns × λe)}/ (λe × λs)} /t = 2{(ne × λs) - (ns × λe)} /(λe × λs)} × [(λs × λe)/{2(λs - λe)}] = 2{(ne × λs) - (ns × λe)} /{2(λs - λe)} = {(ne × λs) - (ns × λe)} /(λs - λe) -----------(6) となります。 n が導出できました。この n を『group index』と呼んでいます。 実際に、group index n を求めてみます。 また、group index ではなく、 測定開始時の屈折率と終了時の屈折率の中間の屈折率を使用して Optical Thickness を求めた場合、 どのくらいの影響があるのか計算してみます。 条件: ・厚み 1mm (=1000000nm) ・測定開始時の光源波長 λs=835nm ・測定終了時の光源波長 λe=825nm ・測定開始時の屈折率 ns=1.453 ・測定終了時の屈折率 ne=1.457 (6)式より、 n = {(ne × λs) - (ns × λe)} /(λs - λe) = 1.787 となります。 仮に、group index の代わりに中間屈折率で Optical Thickness を計算してみます。 (5)式より、 K = ke - ks = (2t × ne /λe) - (2t × ns /λs) = 2t{(ne × λs) - (ns × λe)} /(λe × λs) ≒ 51.88 [cycles] (2)式より Sf = λs × λe /{2(λs - λe)} ≒ 34.44 [μm/cycle] よって、(1’)より、 Optical Thickness は、n に中間屈折率 n_m = 1.455 を適応すると、 t = K × Sf /n = 51.88 × 34.44 / 1.455 [μm] = 1.228 [mm] この条件では、20% 以上も異なる厚みが解析されてしまいました。 機種ごとに微妙に波長が異なりますが、 セルマイヤー係数があれば、装置が自動で group index を算出でき、 正しい厚みが出力されます。 予め入力しておけばよいのは、 以下の式の B1~B3, C1~C3 までの係数です。 n^2 - 1 = B1 λ^2 /(λ^2 - C1) + B2 λ^2 /(λ^2 - C2) + B3 λ^2 /(λ^2 - C3) 以上です。 最後までお読みいただきありがとうございました。 -- E.N