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2023.06.21
D-0196. ナイキスト周波数 — N.T
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ナイキスト周波数 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「知って得する干渉計測定技術!」 2023年6月21日号 VOL.196 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ みなさまこんにちは。 営業技術の田中です。 昨年からダイエットのためにジム通いを始めましたが、 ランニングをさぼって筋トレばかりしていたら、 いつの間にやら脂肪が無くなるより先に筋肉が大きくなってきました。 初めの頃は腹筋の器具で60kg程度しか上がりませんでしたが、 この間初めて138kgが10回×5セット上がりました。 腹筋の成長を感じます。 さて、みなさまはナイキスト周波数という言葉をご存じでしょうか。 私は最近知ったのですが、周期的な現象をサンプリングする際に、 サンプリング周波数の半分の周波数をナイキスト周波数と言う様です。 またこのナイキスト周波数よりも高い周波数の信号をサンプリングした場合、 周波数を正しく認識することができません。 と、これだけを聞いてもなんだかよく分かりませんでしたが、 車のタイヤをイメージすると納得ができました。 ゆっくり回るタイヤは普通に回って見えるかもしれませんが、 車のスピードが上がるにつれてタイヤが止まって見えたり 逆回転して見えることはないでしょうか。 これは人間の目のサンプリング頻度に対して、 タイヤの回転が速くなりすぎてしまったためのものです。 1秒間に何十枚もの写真を撮るようなかたちで動きを目で見ていると考えると、 ある写真の次の写真でちょうど1回転していた場合、 タイヤがずっと止まっている様に見えてしまいます。 また例えばこのときに、写真1枚毎で270°ずつ回っていた場合、 90°ずつ逆回転しているように見えてしまい、 回転の速さ、つまりは周波数を正しく認識することが難しそうです。 写真1枚毎の回転が180°以内であれば、 直感的に認識した回転が実際の回転を正しく捉えていそうですが、 180°→190°→200°と回転が速くなっていくと、 逆回転方向に180°→170°→160°に回っている様に見えてしまいそうです。 つまりは、仮に人間の目が1秒間に50枚写真を撮る(50Hz)とすると、 1秒間に25回転(25Hz)を超えるタイヤの回転は正しく見ることができません。 これをナイキスト周波数と呼びます。 タイヤを例にした場合、実際にはホイールがどんな対称性かによっても どの様に見えるかが変わってきてしまいますが、 干渉計で考えると、フリンジスキャンの明暗変化がまさにいい例です。 干渉縞の情報は各ピクセルがどの程度明るいか暗いかのみなので、 先ほどのタイヤの例の様に回転(明暗変化)が速すぎると、 1フレーム間に明暗が1.5周して変化していても0.5周としか認識できません。 弊社の干渉計をご使用の方は フリンジスキャン中の生画像を見ることも多いと思いますが、 少しずつ右に流れていっていると思っていた縞が実は左に大きく 一周分近く動いていたとしても、見ただけでは分かりませんよね。 これもナイキスト周波数の一つの例です。 もちろん実際はナイキスト周波数を超えず、 少しずつ縞を動かす様に調整されているため、問題無く測定が行えます。 またFM-MSPではナイキスト周波数の考えに基づいて 複数面を一括で測定しておりますが、それはまたの機会に触れたいと思います。 今回は以上です。 最後までお読み頂きありがとうございます。 -- N.T.