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2024.07.24
D-0214.3つのベクトルを辺に持つ平行六面体の体積— E.N
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 3つのベクトルを辺に持つ平行六面体の体積 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp 連載「測定の新常識!?SOLがお伝えするノウハウ!」 2024年7月24日号 VOL.D-0214 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 皆さんこんにちは。 突然ですが、娘は4歳になりました。 今はお医者さんごっこと歯医者さんごっこにハマっており、 気が付けは家に聴診器が6つあります。 ということで今日は、 平行六面体の体積についてお話しようと思います。 というのはこじつけでして、 今月がメルマガの担当だという事をすっかり忘れており、 何を書くか迷って過去のメルマガを読み返していたところ、 『 平行六面体と外積 』という記事が目に留まりました。 当時は、このメルマガを「ふーん」と 読み飛ばしておりました。 私は友達が少なく、これといった趣味もないため、 最近思うことがあります。 今は娘がいてくれるので良いのですが、 将来おばあちゃんになった時に、 暇を持て余す老後になり困るな、、、 という事です。 この問題を解決するために、 長く没頭できる趣味が欲しいと思いました。 そこで、数学ができたらな! 数学なら年を取って体がキビキビ動かなくても大丈夫! と思うようになりました。 そう思って取り組むうちに、 3つのベクトル S、P、Q の3重積 『 S・(P×Q) 』 が、 平行六面体の体積を表すことを 頭の中でイメージできるようになりました。 自分で式をつらつらと書いている側の時は 気分が良くとてもすっきりしますが、 他人の数式を読んでいる側のときは頭に入りづらく 逃げたくなります。 そのため、この記事では、自己満足の数式の羅列ではなく、 式を最低限にし、イメージを文章の形で伝えることが出来るか、 チャレンジしようと思います。 まず、平行六面体とはなにかというと、 全ての面が平行四辺形で出来ている立体 です。 この平行四辺形がすべて正方形の特殊な場合には、 平行六面体 = 立方体です。 平行六面体の体積は、 『 [1] 底面の平行四辺形の面積 』に 『 [2] 底面から上面までの距離 』を 掛ければ求めることができます。 うっすい平行四辺形の板を少しずつずらして積層していくと、 平行六面体の出来上がりですので、 板面の面積×板厚×板の枚数=体積ですね。 板をずらせばずらすほどに、 底面と上面をつなぐ辺の長さは長くなっていきます。 しかし、どんなに板をずらしていっても体積は同じです。 うっすい板で考えると納得できます。 そして 板厚×板の枚数 は、 平行六面体の底面から上面までの長さで、 板面に対しては垂直な方向の長さですね。 つぎに、 問題の『 3つのベクトル S、P、Q の3重積 』というものが、 以下の式で定義されています。 S・(P×Q) ---------------------(1) これには、幾何学的な意味 『 3つのベクトルを辺に持つ、平行六面体の体積 』 が与えられます。 それはなぜか、確認していきます。 まず、P×Q が意味することは何かというと、 PとQ の外積、ベクトル積です。 P×Qはベクトルなので、 a)大きさ と b)向き を考えます。 a)大きさは、 PとQを辺に持つ平行四辺形の面積 (『 [1] 底面の平行四辺形の面積 』)と同じです。 b)向きは、 PとQを含む面に垂直で、 P(先に記述されるベクトル)をQ(後に記載されるベクトル)へ 回転とした時に(PをQにパタンっとした時に)、 右ネジが進む方向です。 これらは定義ですので、文句はつけられません。 P×Q=Vとしておくと、(1)は、 S・V --------------------(2) となります。 次に、S・Vについて考えます。 これの意味は、SとVの内積、 つまりスカラー積(方向をもたない)です。 これは、ベクトルSをベクトルVに 平行な成分S1と垂直な成分S2に分割した時、 Vに平行な成分の大きさと Vの大きさ(つまり平行四辺形の面積)を 掛けたものです。 Vは、ベクトルPとQを辺とする平行四辺形に垂直ですので、 Vに平行なS1もこの平行四辺形に垂直です。 つまり、S1は『 [2] 底面から上面までの距離 』です。 (内積の場合、Vに水平でないSの成分のことは忘れます。) ということで、式(2)は 3つのベクトル S、P、Q を辺に持つ平行六面体の体積である ことが分かります。 長々と書いてしまいましたが、 最後までお読みいただきありがとうございました。 感染症や熱中症が流行っているようですね。 お体ご自愛下さい。 -- E.N