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2018.08.15
E-0062. X線管について — MS
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ X線管について 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「測定の新常識!?SOLがお伝えするノウハウ!」 2018年8月15日号 VOL.062 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ごきげんよう。営業の佐藤です。 読者の皆様はほとんどお休み中かと思うので 今日はちょっと恥ずかしい話をこっそりしてみます。 私はオーストラリアに半年ほど語学留学した経験があります。 昼夜を問わず働いて貯めた資金のほとんどは 準備費用(24週分の学費、4週分のホームステイ費、航空券、ビザ取得、 健康診断、保険料)として消えました。 始めの4週間はホームステイだったので困りませんでしたが、 その後は極貧生活を強いられました。 あまり知られていないのですが、 オーストラリアは、収入や物価の水準が高い国で 最低時給も日本の2倍近い金額です。 セブン〇レブンのサンドイッチが$7~8もします。。 唯一大きなスーパーのプライベートブランドから出ている インスタントラーメンだけは激安で、5食で$2くらいだったのですが、 うすーいチキン味でお世辞にもおいしいとは言えません。 私の留学生活はいかにこの激安ラーメンをおいしく仕上げるかの 研究に熱を燃やす毎日となりました。 秘伝のレシピが出来上がったわけですが、 ここで披露してもしょうがないので控えます。 どうしても気になる?という方は仰って頂ければ特別に伝授します。 さて余談が長くなってしまいましたが、 今日はX線管についてお話してみたいと思います。 まず、X線の発生の仕組みからいってみましょう。 X線は真空中でフィラメント(陰極)から出た熱電子が ターゲット(陽極)に衝突したとき、発生します。 熱電子のうち1%がX線に、99%は熱エネルギーに変わります。 斜めに設置されたターゲットに電子を衝突させ発生した X線が反射する仕組みのX線管を反射型X線管と呼びます。 一方、薄いターゲットに電子を衝突させ発生したX線を ターゲットを透過させる仕組みのものを透過型X線管と呼びます。 それぞれにメリットデメリットがありますが、 反射型の場合、ハイパワーで電子をあてられるため、 像が明るく、撮像時間が短いというメリットががあります。 デメリットとしては、透過型と比較すると焦点径が大きく、 また、電流を上げると比例してさらに大きくなってしまう という点があります。 一方、透過型管はターゲットが薄く、 大電流を流すと膨大な熱エネルギーで ターゲットが溶けてしまうため、 反射型と同じような大きな電流が流せません。 その為、反射型より像が暗く、撮像に時間が掛かります。 その反面、焦点径を小さく保ち、 ボケの少ない像が取得できるというメリットがあります。 一長一短ではありますが、 高精度寸法測定をする上では小焦点径の透過型の方に優位性がありそうです。 TomoScope は機種にもよりますが、X線管は反射型、透過型どちらも お選び頂けます。実績としては断然透過型が多いのですが。 ちなみに TomoScope L と TomoScope XL は300kVの透過型管も搭載できます! (結構すごいことなので、私が学校の先生だったらここ、テストに出します。) 次に、開放管と密閉管という種類があります。 これはX線管のユニットの形式のことですが、 開放管というタイプは真空ポンプなどをつけて 常時または使用時に真空を引くタイプです。 前述の透過型はこちらに該当します。 読んで字のごとく、開けることができ、 消耗品であるフィラメントの交換ができます。 つまりフィラメントの交換をすれば半永久的に使えます。 フィラメントの寿命は3ヵ月程度です。 密閉管は製造時にあらかじめ真空状態にしておき、 フィラメントが切れたらX線管まるごと交換するタイプです。 こちらは寿命が5年程度と言われています。 開放型はコンスタンスに費用がかかり、 密閉型は数年ごとにまとまった費用がかかるという具合です。 ランニングコストを5年や10年の単位で比較すると どちらも同程度と考えられます。 昨年登場した TomoScope XS に搭載のX線管は このは開放型と密閉型の良いとこ取りをした モノブロック型という仕組みなのですが、 今日は長くなってしまったのでここまでにします。 今週も最後までお読み頂いて、ありがとうございました。 -- M.S