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2021.03.24
E-0105. TomoScopeデータの重心 — E.C
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ TomoScopeデータの重心 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「測定の新常識!?SOLがお伝えするノウハウ!」 2021年3月24日号 VOL.105 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 X線CTスキャンによる精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 皆さん、こんにちは。 営業技術の張です。 今回はX線CT装置で取得した点群データの重心について話します。 X線で取得した3Dのボリュームデータを用いて、 線、面、フィッティングなどの解析を行う場合、 よく重心が使われます。 重心は、力学上では、空間的広がりをもって質量が分布するような系において、 その質量に対して重力の合力の作用点であることと定義しています。 言い換えると、物体は沢山の質量を持つ点で構成され、重心に対して、 それぞれの点でのモーメントの総和が0になります。 良く知られているのは、平板を吊り上げた状態で、 吊り下げ軸線は必ず重心を通しています。 例えば、物体をN個の小さい点に分けて、それぞれの点を P1, P2...Pn, それぞれの点に受ける重力を F1, F2...Fnとし、 物体の重心として点Oを仮定し、数式で表すとベクトルの外積になります。 Σ(OPi×Fi)=0 CTでスキャンしたデータには、質量が無く、点群データ(座標値)しかありません。 従って、CTデータの重心と言った場合は、この点群データを用いて計算します。 力学と同様に、それぞれの点を P1,P2...Pn とします。重力はないですが、 各点の重みが同じであるとし、それぞれの点に力Fが作用すると考えます。 つまり、Σ(OPi×F)=0 式を変えると、Σ(OPi×F)= Σ(OPi)×F =0 Fが0ではない為、Σ(OPi) =0 という結果になります。 この式の意味は、重心から各点までのベクトルの和が0になるということです。 x-yの直交座標系を導入して、重心O(X0, Y0), 各点P(Xn, Yn)とすると、 Σ((Xn, Yn)-(X0, Y0)) =0 の関係があります。 つまり、重心の座標は X0=(ΣXn)/n, Y0=(ΣYn)/n です。 例えば、X軸に(1,0), (2,0), (3,0), (8,0)が存在する場合、 上記の式により、重心の座標は X0=(1+2+3+8)/4=3.5, Y0=0/4=0になります。 計算は簡単ですね。 但し、TomoScopeの点群データは約20万点あります。 それを全部計算するのは、手動では難しいです。 パソコンに計算させると簡単に処理できます。 この原理を利用し、線や面に対する「点」を計算させると、 それぞれデータの重心が計算されます。 また、3Dデータの比較においても重心を利用することで、 粗いフィッティング(大まかな位置合わせ)をしています。 どんな複雑な形状でも、必ず重心は1点しか存在しない為、 この原理を知っていると、解析が便利になります。 それでは、今日はこの辺で。 最後までお付き合い頂き、有難う御座いました。 -- E.C