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2024.03.13
E-0157.半導体レーザーについて— T.K
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 半導体レーザーについて 発行:エスオーエル株式会社 https://www.sol-j.co.jp/ 連載「測定の新常識!?SOLがお伝えするノウハウ!」 2024年3月13日号 VOL.157 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 干渉計による精密測定やアプリケーション開発情報などをテーマに、 無料にてメールマガジンを配信いたしております。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ こんにちは、営業グループの北野です。 今回は、FlatMaster シリーズに使用している 半導体レーザーについてお話したいと思います。 まず初めに『レーザー』と『光』について触れたいと思います。 ・レーザー(LASER) とは Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation (誘導放出による光増幅放射)の頭文字を取った言葉で、 波長と位相が時間的・空間的に揃った 特殊な光(コヒーレント光)です。 ・光とは電磁波の一種で、波長によって特徴付けられます。 波長の長い方から 赤外線 > 可視光 > 紫外線 > X線 > γ線 となっています。 例えば、昔の携帯電話に搭載していた赤外線通信機能や 夏に日焼けの原因となる紫外線は 目に見えないながらも身近でイメージしやすいと思います。 電磁波の中で人間の目に見える波長の範囲を 可視光線と呼んでおります。 可視光線の波長は短波長側が 360 ~ 400 nm、 長波長側が 760 ~ 830 nm となっており、 この範囲にはいらない波長は 人間の目では見ることが出来なくなります。 次に半導体レーザーの構造と発振についてです。 基本的に半導体レーザーは 活性層と呼ばれる層が n型 と p型 の半導体に挟まれています。 この n型 と p型 の半導体はクラッド層と呼ばれ、 n型 はマイナス、p型 はプラスの電気的性質をもっています。 このように挟まれている構造の事をダブルヘテロ構造と呼び、 n型基板の上に設置してあります。 半導体レーザーは電気を流すことによってレーザー発振し、 それぞれのクラッド層に対応するよう電気を流すと n型 からは電子、p型 からは正孔が活性層に流れ込み それらが出会う事で結びつき、再結合します。 n型 から流れ込む電子は、高いエネルギーを持っていますが、 再結合が起こるとそのエネルギーは失われ、 失われたエネルギーは光に変換されます。 この時、n型クラッド層からきた電子エネルギーと 再結合によって光放出された後のエネルギーの差を エネルギーギャップと言い、 そのギャップによって光の波長が変化します。 この波長の変化を利用することで、 生み出される光を様々な用途に活用することができます。 ※ エネルギーバンドギャップ Eg [eV] と波長 λ [nm] の関係は、 Eg = hc/λ ≒ 1240 / λ となります。 一度再結合が起こると、 変換された光が引き金となり別の電子も再結合を始めます。 この現象を誘導放出と呼び、 発生した光は初めに再結合によって発生した光と 全く同じ位相を持った波長の光となります。 この誘導放出の原理を利用し、 位相の整った強い光を生み出すことができるのが 半導体レーザーの特徴です。 活性層の端面は 全反射ミラーと半反射ミラーの役割も果たすため、 活性層内で発生した光は一定の強さになるまでは繰り返し反射し、 誘導放出によって増幅されていきます。 光が十分に増幅され、一定の強さに達した時、 活性層からレーザー発振が起きます。 この特徴を活用することで、 自然光では成し得なかった計測や物質と光の強い相互作用を 人為的に引き起こすことが可能となっております。 レーザーの種類は大きく分けて固体・気体・液体の3種類あり、 弊社の FlatMaster シリーズで使用しているレーザーは 主に2つとなっております。 ・固体(主流) レーザーダイオード(LD) 635 nm ・気体 He-Neレーザー 632.8 nm レーザー光を用いたフィゾー式斜入射干渉計については 下記にて詳しくご紹介しておりますので 併せてご覧頂けますと幸いです。 https://www.sol-j.co.jp/technology/interferometer-fm/ 最後に、 レーザーは前兆も無く急に切れてしまいますので、 計画的に交換することで、 急なレーザー切れによる想定外の装置停止を避けることができます。 FlatMaster は、半導体レーザーが基本で、 以前にご提供しておりました HeNeレーザー は、 該当型番の生産終了に伴い、 個別に対応のご相談を承っております。 レーザーは、定期的な交換を推奨しておりますので、 ご検討の際は、下記までお問合せ頂けますと幸いです。 https://www.sol-j.co.jp/contact/ 本日はこのあたりで失礼します。 最後までお読みいただきありがとうございます。 -- T.K